海外の大学ランキングに関して、日本の大学は順位が良くないことが多いです。そのため、実際より評価が低いのでは?と思われることがあるでしょう。
アジア圏内ではランクインする日本の大学がありますが、世界ランキングでは日本の大学は余り評価が高くありません。
昨今は、中国、韓国、香港、台湾などの大学が躍進してきており、日本は後退するイメージすらあります。
英語が苦手な日本の大学
世界の大学ランキングは英語圏の会社や雑誌社が行っていることが多く、英語が基本になっています。
そして、日本の大学は英語で海外へ情報を発信するのが苦手です。これは、教授ばかりではなく事務方の英語習熟レベルにもよるでしょう。
大学のホームページを見ても、英語版がしっかり作られている大学は少ないです。
研究結果や論文等に関しても、英語の壁があって十分に世界に発信されていないようです。
国内だけで十分に研究資金が得られたり、世界的に優れた日本企業と提携することができるので、手間をかけて海外へ出て行かなくてもよいという風潮もあるのかもしれません。
国際性の低い日本の大学
大学ラインキングでは、留学生や海外から来た教授の数なども評価対象になります。
日本にいる留学生に関しては、アジア圏からの学生がそのほとんどを占めている状態で、中でも中国人学生の割合が非常に多く、国際バランスが取れていないといわれています。
欧米からの留学生は極端に少なく、欧米の学生が日本の大学を評価していなかったり、国際性がないため低いと評価されている面があるようです。
海外から優秀な教授も余り受け入れていないため、これもまた国際性が低くく、グローバルな時代に対応できていない大学として、ランキングの評価を下げてしまうことがあります。
日本には、国際の文字が入っている大学がたくさんありますが、学生を少しの間だけ海外の大学に通わせる程度で、大学自体が本当に国際化できているところがどれほどあるでしょう。
教育資金の支援が少ない、学ぶ余裕のない学生
日本では大学に入ることが目的で、大学に入ってから勉強を余りしない学生が多いといわれます。これではアメリカなどの大学に比べると評価が落ちてしまうのは当然でしょう。
日本の私立大学は有名なところでも、世界ランキングでは圏外といった状況が続いています。
近年盛り返している大学も一部ありますが、学生が大学で余り学んでいないという点が世界的にみて評価されない一要因でもあると思います。
決して学生が遊んでばかりいるというわけではなく、政府レベルでの教育支援が少ない日本では、多くの学生は長時間のバイトをして大学に通わなければならない状況があるでしょう。
2015年、アジア圏等から日本に留学する学生には年間300億円近い奨学金が支給されています。奨学金を得ているのは留学生の一部ですが、これほど大きな予算が当てられています。
留学生に与えられる奨学金は様々な種類がありますが、一例として、奨学金を得た留学生が大学に通う場合、入学金・学費・入学検定料はもちろんのこと、渡航費(来日と帰国時の航空券代)、生活費として月額117,000円が支給されます(2016年度)。
この奨学金が支給される期間は、5年間です(1年間の日本語を学ぶ予備教育を含む)。医学部や薬学部は7年間です。
海外から来日してくる学生に対して支給される奨学金が、優秀であっても経済的に進学できない日本の高校生に支給されたら、どれほど数の学生が大学に行けるでしょうか。
留学生支援を行うことはよいことですが、自国民である日本の学生をもっと支援する政策もそれ以上に必要とされているでしょう。
※参照:留学生施策について-文部省
アンケート形式の弊害
調査会社によっては、各大学にアンケートや調査書類を送ってそれに記入してもらったものをベースにして評価しているところがあります。わざわざ日本に来て、各大学を訪れて調査しているわけではありません。
こういったアンケートには、大学の収支、教授数、学生数(学士、修士、博士の割合等)、留学生の数、海外から招いた教授数、論文の提出数や受賞暦、産学プロジェクトの数やそれで得た収入など様々な項目があります。
アンケート項目に間違って入力されていたり、記入されていない箇所は、評価がゼロ、または、平均以下として数値化されてしまいます。
論評にも掲載されることがありますが、優秀な大学といわれているのにランキング調査に協力的ではなく、スコアが低くなってしまうところがあるそうです。これは日本の大学を指しているのではないかと思ってしまいます。
推測ですが、英語の苦手な日本の大学はこういった調査に非協力的というか、英文のアンケートに細かく応えることができない、または面倒に思っている状況があるのではないでしょうか。
時々、日本ではマイナーな大学が世界ランキングに掲載されたりしますが、こういったアンケートにうまく対応しているからかもしれません。
中国の大学の躍進
近年、中国の大学の躍進がものすごくて、海外の大学ランキングで話題になります。
中国は経済発展をして、大学にたくさんのお金が投入されたり、英語圏から多数の教授を迎えています。
実績を作るためか、または書類上の数を増やすためなのか、短期間だけ欧米から複数の教授を受け入れる大学もあるそうです。
中国の大学は、アメリカやカナダの大学と提携や単位交換制度にも力を入れています。
中国と英語圏の大学で単位交換の不正が行われるケースが一部ニュースになっていますが、中国の大学と提携することで多額の収入を得ている海外の大学が増えており、学生の行き来だけではなくお金の流れも活発になっています。
日本の大学は海外との提携といっても、単位交換のできる正規学部レベルで学べる学生は非常に少なく、多くは英語を習うだけの語学留学に行く程度の交流になっていると思います。
日本の学生は優秀
大学ランキングに反映されていなくても、日本の大学が劣るわけではありません。なぜなら、日本に優秀な学生や人材がいなければ、小さな島国が世界で台頭できるわけがありません。
英語の壁はもちろんありますが、必ずしもすべての人が英語を話せる必要はないと思います。日本で高い技術や能力を持てば、世界的に通用することは珍しくないでしょう。
世界ランキングは留学する際の参考であって、最終的に進学先を選ぶ際には、自分が学びたいことや大学のカリキュラムなど実質的な部分で日本と海外の大学を比べてみてください。