WISEは、ロンドンが本拠地の海外送金を主としたサービスです。海外送金手数料が銀行に比べて安いため、旅行者をはじめ留学やワーホリで海外に行く人たちの間でも人気のサービスといわれています。
WISEでは、ウェブサイトやアプリから簡単に海外送金の手配ができます。今までは銀行を使ってかなりの手数料を取られて海外送金をしていた人が多かったと思いますが、WISEを使えば、日本と海外でのお金の移動が安く簡単に行えます。
また、主要な通貨や国の銀行口座情報が取得できるため、日本にいながらアメリカやカナダの銀行口座を簡単に利用することもできます。
海外送金したり海外で現金を引き出すことができるサービスは、国内外に様々あります。WISEは、世界中で1600万人が利用しているほど人気あるサービスであることからご紹介したいと思います。
海外送金の手数料が節約できる
WISEの利便性のひとつは、海外送金の手数料が銀行に比べて安いことです。
日本からアメリカやカナダなど海外へ送金する際に、最初の方法として考えるのが、身近な銀行を利用して送金することではないでしょうか。
しかし、国内の送金(振込)に比べると、海外への送金は高い手数料がかかります。
銀行を利用した海外送金は、国内銀行→中継銀行→海外銀行という流れでお金が送られます。
国内の銀行振込に比べて海外への送金は複雑な手続きになるので、基本料金が高くなるうえに、中継銀行にも手数料を払うことになります。
受取側の海外銀行については、手数料がかかるケースとかからないケースがありますが、アメリカでは手数料が取られると思っていた方がよいでしょう。手数料は、海外送金で入金があった際に口座から自動的に差し引かれていると思います。
国内銀行のネットバンキングを利用して海外送金する場合、送金手数料は3000円前後が一般的なようです。楽天銀行は、送金手数料が750円で他行に比べて安く設定されています。
銀行の窓口で手続きする場合は、面倒な書類の記入に加えて、6000円前後が基本料金になってくると思います。
送金額が高額で不安な場合は、銀行窓口で行員さんに手続きをしてもらった方がよいかもしれませんが、手数料を抑えるにはネットバンキングを使った海外送金がおすすめです。
中継銀行手数料は、海外送金を中継する銀行に支払われる手数料です。コルレス銀行手数料ともよばれます。
日本の銀行と海外の銀行は直接な繋がりが余りないので、海外送金では中継してくれる銀行を介する必要があります。
中継銀行手数料の一例として、楽天銀行では1000円、三井住友銀行では2500円、ソニー銀行では3000円が手数料が必要になります。
中継銀行手数料は送金してみないとわからないため、後日、不足分を請求される、または受取側で支払うことがあります。一例として、楽天銀行では中継銀行手数料が1000円と他行より安いですが、1000円以上の手数料がかかった際には別途請求されることがあります。
金融機関によっては、中継銀行手数料は、受取側で負担する選択しかない場合があります。一例として、郵便局で海外送金する場合、中継銀行手数料は受取側が負担するため、受取金額がその分減額されます。
代表的な銀行の海外送金手数料と中継銀行に支払う手数料をあげてみます(2024年9月)。
送金手数料 | 中継銀行手数料 | 合計 | |
楽天銀行 | 750円 | 1000円 | 1750円 |
ソニー銀行 | 3000円 | 3000円 | 6000円 |
三井住友銀行 (SMBCダイレクト) |
3500円 | 2500円 | 6000円 |
みずほ銀行 | 8500 円 | 2500円 | 11000円 |
国内の銀行の例を上げましたが、WISEの送金手数料は、固定手数料265円と両替額の0.6%を合計したものになります(執筆時)。
さらに、WISEでは、中継銀行手数料がかかりません(100万円を超える送金や一部の国の送金を除く)。
このように、WISEを利用した海外送金では銀行に比べてかなりコストが抑えられます。
隠れたコスト、各銀行で違う為替レート
為替レートについて、WISEではミッドマーケットレート(仲値)という、銀行や海外送金サービスが外貨取引に使用する売り相場と買い相場の中間レートを採用しています。
国内の銀行を使った海外送金では、このミッドマーケットレートに独自の手数料を加えたレートを使っているため、この部分が隠れた手数料ともいわれています。
一例として、海外送金で使われる2024年9月13日のある時間帯での為替レートで比べてみます。1アメリカドル→日本円のレートです。
WISE | 140.910円 |
楽天銀行 | 142.077円 |
三井住友銀行 | 141.990円 |
三菱UFJ銀行 | 142.262円 |
PayPal | 148.893円 |
👉今日のレートについては、WISEのホームページで確認できます。
各金融機関のレートを比べてみると、それぞれで為替レートが違うのがよくわかると思います。
WISEが一番お得なレートで、一番割高なレートはPayPalになります。この日のレートでは、銀行は大体142円前後といったところでした。
上記で割高なレートが目立つものに、PayPalがあります。PayPalは、アメリカを中心にネット決済サービスとして有名で、日本からアメリカへの送金も簡単にできます。
PayPalの送金手数料は安く設定されているので、一見お得な感じがします。しかし、利用者にかなり不利な為替レートであるため、少額ではそれほど気にならないかもしれませんが、送金金額が大きくなるほど損になるでしょう。
前出の海外送金手数料に加えて、WISEがミッドマーケットレートを使って他社より有利なレートで海外送金できることも、WISEがお得に感じられる点でしょう。
同じアカウントでアメリカの銀行口座が設定できる
WISEでは、マルチカレンシー口座という機能があり、システム上に海外の銀行口座を設定することができます。
このマルチカレンシー口座を使えば、簡単にアメリカやカナダの銀行口座情報を取得することができます。
アメリカドルやカナダドルの他に、ユーロ、英ポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、シンガポールドルなどの口座情報を取得できます。
WISEの管理画面で、アメリカやカナダなどの口座を管理できるのは、非常に便利です。
自分のWISEアカウントにアクセスすれば、管理画面で日本円の口座からアメリカドルの口座に移動させたり、その逆もできます。
WISE内にあるアメリカドル口座に入金する流れとしては、日本の銀行口座 → WISEの日本円口座 → WISEのアメリカドル口座という手順があります。アメリカドル口座に資金移動する際には、自動でアメリカドルに両替されます。
WISE内にアメリカ銀行口座を設定しておけば、アメリカ国内で送金を受けたり、アメリカにある別の銀行口座に送金することも可能です。
個人的には、海外送金手数料が安いことも利点だと思いますが、このマルチカレンシー口座が便利でよく使っています。
仕事や長期滞在などの目的のため、WISE内にアメリカドルやカナダドルなどの複数通貨の口座を設定することで、各国でのお金のやり取りがスムーズになります。
なお、マルチカレンシー口座では、現地銀行の口座情報を取得してWISE内で管理できるシステムのため、限られたオンライン取引のみ可能になります。アメリカの銀行のネットバンキングで可能な複雑な手続きはできませんし、アメリカの小切手を使った入金もできません。
現地の銀行口座との連携が簡単
WISEでは現地の銀行との連携できて、自分の銀行口座からWISEにお金を移動したり、WISEから日本の銀行口座に送金することもできます。
アメリカの銀行口座との連携もできます。アメリカに住んでいれば、近くの銀行支店に口座を開くこともあるでしょうから、この機能は便利かと思います。
アメリカの銀行口座から日本へお金を送る場合、WISEを仲介して送金することで、手数料を安くしながら、簡単な操作で送金ができます。
たとえば、アメリカの銀行口座から日本の銀行口座にお金を移したいといった場合、アメリカの銀行口座 → WISE → 日本の銀行口座という資金移動がWISEの管理画面で行うことができます。
アメリカの銀行口座は、予めWISEに登録認証しておく必要がありますが、それを設定しておけば、WISEとの間の資金移動がとても簡単になります。手数料も安いですし、海外送金スピードも銀行間の一般的な送金に比べて非常に早いです。
WISEデビッドカードは各国で利用可能で手数料が安い
WISEでは、デビッドカードを別途申込できます。そして、WISEに預けた資金内でATMからお金を引き出したり、クレジットカードのようにお店やネットでのショッピングにも使うことができます。
日本でATMから現金を引き出す場合、アカウントあたりに毎月2回、合計3万円まで無料で現金を引き出せます(3回目からは出金ごとに70円かかります)。出金額が3万円を超えた場合は1.75%の手数料が発生します。※手数料はカードが発行された国と居住国によって異なります。
日本でもデビッドカードやプリペイドカードが多数発行されていますが、前出の通り、日本の金融機関ではミッドマーケットレートに独自の手数料を加えたレートで計算するため、WISEの為替レートの方が有利になると思います。
また、日本の金融機関のデビッドカードでは、ATM利用手数料として一律200~300円の手数料に加えて、海外事務手数料として引き出し額の2%前後の手数料が加算されることがあります。
WISEデビッドカードの発行手数料は1200円です(2024年現在)。日本での受取では1~2週間かかりますので、留学や旅行で出国予定がある場合は早めに申し込んでください。
WISEのホームページで無料会員登録した後で、デビッドカードを申し込むことができます。
アメリカ留学&カナダ留学での利用方法
留学でアメリカやカナダに行く場合、現地についてまずやることの一つが、銀行口座の開設ではないでしょうか。
現地では、クレジットカードやデビッドカードが広く使われますが、アパートや行政サービスの支払い、個人間の取引、購入した商品やサービスの返金などは銀行振込ということもまだあります。
しかし、英語力が不十分な状態では、現地の銀行口座の開設はなかなか大変なことがあります。また、短期間しか滞在しない場合は、帰国時に口座を閉じるのも面倒です。
そこで、WISEアカウントを使って、アメリカやカナダの口座情報を取得しておけば、現地の銀行口座への送金や入金に対応することが可能です。
また、子供さんが留学している親御さんが、WISEアカウントを持っていて、子供さんのアメリカでの銀行口座情報が分かれば、WISEを使って簡単に海外送金ができます。
日本の銀行からアメリカの銀行口座に海外送金する場合は、前出でご案内した通り、1回ごとに数千円~の手数料を支払うわけですが、WISEを使えばかなり手数料を節約することができます。
親御さんがWISEアカウント内でアメリカドル口座を設定することで、WISEのアメリカドル口座から、アメリカにいる子供さんの銀行口座に送金(同通貨間の送金)することも可能です。
留学している学生さん自身が、WISEアカウントを持っている場合、日本の自分名義の銀行口座に、親御さんからお金を振り込んでもらって、後は自分でその銀行口座からWISEに入金することができます。
※日本のネットバンキングは、海外から利用できないケースがありますので注意してください。海外から日本のサイトにアクセスする際には、世界VPNやNordVPNといったVPNサービスを使って、送信データを保護しながら日本のIPアドレスで接続することをおすすめします。
留学している学生さんと日本にいるご家族が双方でWISEアカウントを持っていれば、WISE利用者同士でも送金ができます。
このようにWISEを使うことで、日本とアメリカ・カナダの間で、資金の移動(送金)を低コストで簡単に行えるようになります。
海外の金融機関は不安?
WISEでは、使い方など様々な情報が掲載されたホームページをはじめ、実際に取引をする管理画面も日本語で表示されるので、英語環境に慣れていなくても大丈夫です。
WISEは、関東財務局により第一種及び第二種資金移動業者(第00040号)として登録されていて、利用者から預かった資金と同額以上の額を供託や分別管理によって保全するように義務付けられています。ただ、WISEは銀行ではないため、日本の預金者保護法のような制度はありません。
安心のために、ある程度の手数料を払っても構わないのであれば、WISEより国内の金融機関のサービスを使った方がよいこともあるでしょう。
安全を考慮してWISEを使うのであれば、必要ごとに自分の銀行口座からWISEに資金を移動するなど、必要以上のお金をWISEの口座に預けないといった防御策は取っておいてもよいと思います。
高額なお金を送る場合は日本の銀行の海外送金を使って、それ以外はWISEを使うといった方法もありでしょう。
日本の金融機関では、1回ごとの海外送金手数料が高いので、まとめて送った方がお得かもしれません。WISEの場合は手数料が安いので、複数回に分けて送金することも可能です。
WISEは海外送金に特化していて手数料が安く、世界的に利用者が非常に多いサービスです。このページだけではご案内できないほど、便利な使い方がありますので、留学生活でも役立つと思います。
海外送金の一つのオプションとして、検討してみてはいかがでしょうか。
※WISEの料金やシステム、および、参考にあげた他社の料金は執筆時のものです。最新の情報は各社ホームページをご参照ください。