海外旅行保険が付帯したクレジットカードを選ぶ

海外旅行保険 留学で役立つクレジットカードと海外送金

短期留学や海外旅行で使うクレジットカードを選ぶ際に、ブランドや信用度はもちろん大切ですが、海外旅行傷害保険が充実しているかも考慮しましょう。

海外旅行傷害保険(以下、海外旅行保険)は、海外旅行で起こった事故、ケガ、病気などに対して、傷害死亡・後遺障害、傷害治療費用、疾病治療費用、賠償責任といった費用を保険でカバーしてくれるサービスです。

全てのクレジットカードに海外旅行保険が自動的に付いているわけではなく、補償金額もカードによって異なります。

こちらでは海外旅行保険の付帯するクレジットカードの特長や選び方、クレジットカードでは足りない部分を海外旅行保険で補う方法、そして、年会費無料を中心に海外旅行保険が充実したクレジットカードをご紹介したいと思います。

クレジットカード付帯の海外旅行保険は90日のみ

基本、クレジットカードの海外旅行保険が使えるのは、旅行に出てから90日以内といった決まりがあります(クレジットカードによっては期限が30日というケースもあります)。このため、90日以上、海外にいるような旅や留学では、この保険だけに頼るのは難しいです。

クレジットカードによっては、旅行でクレジットカードを使った日から3ヶ月間補償されるといったものがあるので、2枚クレジットカードを用意しておけば、2枚目のカードを旅の途中から使うことで、3ヶ月以上の海外旅行でも保険が適用になることがあります。

しかし、こういった裏技的な情報が広くネットで広まったためでしょうか、クレジットカード各社では「海外旅行の前に、国内で旅行に関する支払いをクレジットカードで支払うこと(例、航空券の購入など)」を付帯保険が使える条件にしている会社が増えてきています。

クレジットカードの海外旅行保険は、利用条件が変更されることがあるので、海外旅行や留学の前にクレジットカードの規約しっかり確認しておいてください。

 

クレジットカードの海外旅行保険は、死亡保障より治療費に注目する

クレジットカードの宣伝文句では、最高5000万円まで補償します!といった見出しを見ることがあるでしょう。

自分のクレジットカードは最高で5000万円まで補償されるので、海外で事故にあったり病気になっても大丈夫!と勘違いされている方がいます。

最高で5000万円や1億円まで補償します!と謳われていても、説明の下の方に、死亡・後遺障害保険に限りますといった注記があります。

万が一、死亡するようなことがあれば、それに対する補償が最高で5000万円ということであって、治療費に関しては別になります。

補償の内訳を見れば、傷害死亡・後遺障害、傷害治療費用、疾病治療費用、賠償責任というように細かく、それぞれいくら補償されるか金額が明記されています。これらがいくらに設定されているのか、旅行前に確認しされた方がよいでしょう。

一般的なクレジットカード(海外旅行保険付き)では、傷害治療・疾病治療費用は50~100万円くらいになっていると思います。当然ですが、治療費で最高5000万円までカバーされるということではありません。

縁起の悪い話をするつもりはありませんが、学生さんが自分が亡くなったらいくら支払われるかを心配するより、事故などに遭った時、治療費が払えるのか、適切な治療が受けられるのかといったことを心配する方が現実的ではないでしょうか。

 

クレジットカードの海外旅行保険だけでは不十分

アメリカでは医療費が高額で、手術や入院を伴うような治療では1000万円を超えてしまうことが珍しくありません。

保険会社が提供する海外旅行保険は、治療費の補償額を1000万円以上から選択するようになっていることが多いです。

クレジットカード付帯の海外旅行保険では、治療費は50~100万円くらいで、最高でも300万円くらいです。保険会社の提供する海外旅行保険に比べると、クレジットカード付帯の海外旅行保険がいかに少額であるか分かるでしょう。

クレジットカード付帯の海外旅行保険は、緊急時に病院を紹介してもらうサポート役、自分で支払う治療費の一部を負担してもらう、または、軽度の怪我や具合が悪くなった時(風邪、腹痛、ねんざ等)に使うものと割り切っておいた方がよいこともあります。

クレジットカード付帯の海外旅行保険があれば、保険会社からわざわざ海外旅行保険を買う必要はないと豪語している人達もいますが、多くはアジアを旅行している人達ではないかと思います。

アジアの国々では、物価や人件費が安かったり、先進国と比べて治療施設が最新ではなかったりして、医療費が比較的安いことがあります。しかし、アメリカは医療が高いことで有名なので、アジア旅行と同じように考えていると大変なことになるかもしれません。

自分は健康だから大丈夫と思っていても、全く予期していなかった偶発的な事故にあって、手術を伴う大怪我をする可能性はゼロではないでしょう。その中には、階段を踏み外して骨折、自動車事故、食中毒、ウイルス感染等、ちょっとした不注意にはじまって自分ではコントロールできない部分もあります。

ちなみに、アメリカのコミカレや大学に入学する際には、ほぼ強制的に現地の健康保険等に加入することになると思います。現地の保険があれば、よほどのことがない限り(補償内容にもよりますが)、病気やケガには対応できるでしょう。

留学生としてアメリカの保険に加入するケースでは、クレジットカード付帯の海外旅行保険はアメリカで保険に入るまでの繋ぎ的な役割をしたり、オプションとして活用できると思います。

 

海外旅行保険の付帯するクレジットカードの選び方

年会費無料や年会費が低いクレジットカードであれば、傷害治療費用や疾病治療費用が100万円以上の中からまず選んでみてください。

また、補償額が低いクレジットカードをカバーするために、複数のカードを持つという方法があります。一つのクレジットカードの治療費が100万円までとすれば、2枚あれば200万円まで補償が可能になります。※カード会社や補償内容によって合算ができないことがあります。

旅慣れた人達は、複数のクレジットカードを揃えて、カード付帯の海外旅行保険を併用することで、できるだけ治療費の補償額が高くなるようにしています。

ただ、一度にいくつもクレジットカードを申込むとカード会社側に不審に思われることがありますので、まずは1社申込んでカードが発行されてから、次のカードの申込みを検討してください考えください。

どれくらいの補償が必要になるかというのは、軽いケガから手術が必要になる病気など状況によるので一概に言えませんが、アジア方面では200~500万円くらい、アメリカやカナダでは500~1000万円くらいは必要と考えていた方が無難だと思います。

軽いケガや食あたりなどの腹痛程度であれば、治療費の補償額が100~200万円くらいあれば足りると思います。繰り返しになりますが、海外では何が起こるかわかりません。事件や事故に巻き込まれることもあるので、備えが十分であることに越したことはありません。

ちなみに、アメリカは治療費が高額なので、100~200万円の補償額ではかなり不安です。ケガや病気で手術が必要になれば、治療費は軽く500万円を超えてくることがあります。

事故や病気で集中治療室に入るようなことがあれば、一日で数十万円を請求されることもあります。1か月も集中治療室に入ることになれば、その費用は1千万円を超えてくる可能性があります。

こういったことから、クレジットカードの補償で足りないと思われる場合は、一般の旅行保険を購入しておいた方が安心です。

治療費とは別に、賠償責任(2000万円~)の補償もあった方がよいです。賠償責任は、お店の商品を壊してしまったとか、ホテルで水を出しっぱなしにして階下の部屋を水浸しにしたといった弁償金などを補償するものです。

近年、クレジットカードを持っているだけで海外旅行保険が適応される自動付帯が減って、旅行費用の一部をクレジットカードで支払っていることを条件に補償が支払われる条件付帯が増えています。

旅行代金をクレジットカードで支払うことが海外旅行保険を有効にするための条件であれば、そのカードで航空券を買うなど対処すれば大丈夫です。絶対、自動付帯がいいとなると選択肢をかなり狭めてしまいますので、柔軟に考えた方がいいかと思います。

クレジットカード選びでは、ポイントがどれだけ貰えるといったことが大切な項目として捉えられている一面がありますが、海外に行く予定があれば、十分な補償のある海外旅行保険が付帯しているかも確認しておいてください。

 

エポスカードは年会費無料で治療費の補償が高い

エポスカードは年会費が無料の上、傷害治療費用が200万円、疾病治療費用は270万円まで補償されます。

一般に年会費無料のクレジットカードでは、海外旅行保険が付いていないか、付いていても50~100万円以下ですので、優位な補償額設定になっています。海外旅行のブログなどで、お得で便利ということで、このカードがよく紹介されているのもうなずけます。

エポスカードは、今までは海外旅行保険が自動付帯になっていましたが、2023年10月1日以降は、クレジットカードで海外旅行代金(ツアー料金や交通費等、移動に関する代金)を払わないと補償されないことになりますので気をつけて下さい。

事故やケガなど保険対象事由が発生する前にカード決済している事が条件になります。航空券の購入をはじめ、空港に向かうためにバスや電車に乗って、それをエポスカードで支払うことで条件を満たすので、ハードルは高くないと思います。

エポスカードの補償内容:
・傷害死亡・後遺傷害:最高500万円▶3000万円に変更(2023年10月1日以降)
傷害治療費用:200万円(1事故の限度額)
疾病治療費用:270万円(1疾病の限度額)
・賠償責任(免責なし):2000万円(1事故の限度額)▶3000万円に変更(2023年10月1日以降)
・救援者費用:100万円(1旅行・保険期間中の限度額)
・携行品損害(免責3000円):20万円(1旅行・保険期間中の限度額)

エスポカードのオフィシャルサイトはこちらへ

 

楽天カードは年会費無料で治療費200万円までカバーする

2020年10月1日以降から楽天カードでの補償条件が変わり、自宅から出発空港までの交通費を支払っただけでは保険適用されなくなりました。募集型企画旅行(旅行会社による海外パックやツアー旅行など)の参加に限り保障されるようになったため、個人で航空券を手配しての旅行は対象外になります。

楽天カードは年会費無料ながら、治療費が最大200万円まで補償されます。一般の年会費無料のクレジットカードと比べたら補償額が大きいですが、海外パックやツアー旅行などの代金を楽天カードで支払うことが条件になるため、留学など個人で渡航する場合は利用できないようになりました。

楽天カードの上位である楽天プレミアムカード (年会費11,000円)については、傷害治療費用と疾病治療費用がそれぞれ300万円といった補償が自動付帯になります。学生の方にはハードルが高いカードですが、社会人の方であれば検討の余地があるかと思います。

楽天カード(年会費無料)の補償内容:
・傷害死亡・後遺障害:2000万円
・傷害治療費用:200万円(1事故の限度額)
・疾病治療費用:200万円(1事故の限度額)
・賠償責任(免責なし):2000万円(1事故の限度額)
・救援者費用:200万円(1事故の限度額)
・携行品損害(免責金額3,000円):20万円(1事故の限度額)

楽天カードのオフィシャルサイトはこちらへ

 

セゾンブルー・アメリカン・エキスプレスは治療費300万円まで補償

セゾンブルー・アメリカン・エキスプレスカードは、2023年9月1日に募集終了となりました。

セゾンブルー・アメリカン・エキスプレスの代替え案として、セゾンカードには、MileagePlusセゾンカードというとセゾンブルーと同等の補償が付いたカードがあります。年会費1650円→3300円に変更(2024年5月1日)。

また、セゾンカードにアメリカン・エキスプレスが付いたカードについても、治療費が200~300万円の補償が付いたカードが複数あります(例:MUJI Cardアメリカンエキスプレス)。ただし、自動付帯ではありませんので海外旅行に関わる既定の料金をカードで支払っていることが保険適用の条件になります。セゾンのアメックスカードは年会費が有料になります。

セゾンブルー・アメリカン・エキスプレスカード(セゾンブルー・アメックス)では、治療費は最高300万円まで補償されます。この補償額はゴールドカード並みですので、年齢によりますが年会費が無料になるカードにしては手厚い補償といえます。

学生に人気が高いと言われるセゾンブルー・アメックスは、通常は年会費3000円(税別)ですが、26歳になるまで年会費が無料です(執筆現在)。

旅行に行く前に、旅行代金(航空券や海外ツアーの代金、空港までのリムジンバスや電車賃等)をセゾンブルー・アメックスのカードで支払うことが条件になります。※2021年7月1日より利用条件が変更。

セゾンブルー・アメリカン・エキスプレスの補償内容:
・傷害死亡・後遺障害:3000万円
・傷害治療費用:300万円(1事故の限度額)
・疾病治療費用:300万円(1事故の限度額)
・賠償責任(自己負担1000円):2000万円(1旅行・保険期間中の限度額)
・携行品損害(自己負担3000円):30万円(旅行・保険期間中の限度額、1品10万円が限度)・救援者費用:200万円(1旅行・保険期間中の限度額)

 

海外旅行保険の自動付帯が減ってきている

クレジットカード付帯保険の裏技的な使い方が広まった影響なのか、今までは自動付帯だったものが、出国前に旅行代金をカードで支払った場合にのみ(一部細かい規定あり)、海外旅行保険を適用するクレジットカードが増えてきています。

自社のクレジットカードを使ってくれているお客さんのために提供しているサービスの一つである海外旅行保険なので、自動付帯の状態でカードを使わずに治療費といった保険金だけ負担させられることになれば、クレジットカード会社としては損でしかないでしょう。

ゴールドカードなど年会費が1万円以上するものは、引き続き自動付帯されるものがあります。しかし、年会費が0円~3000円くらいのカードは、今までのように自動付帯ではなくなってきています。

年会費無料または比較的安い年会費で、海外旅行保険が付帯されるクレジットカードを探すのであれば、前出のエポスカードセディナカード(SMBCファイナンス)、学生専用ライフカードなどもあります。

年会費無料+海外旅行保険が自動付帯されるクレジットカードを探すと、マイナーなクレジットカードにたどり着いてしまうことがあります。クレジットカードは、不正利用されないセキュリティやトラブルに遭った際のサポート面を一番に考えた方がよいので、海外旅行保険の自動付帯ばかりをフォーカスしない方がよいかもしれません。

1か月間の海外旅行保険を購入する場合、補償内容にもよりますが1~2万円くらいは必要になります。その1~2万円の一部をクレジットカードの年会費に充てると考えれば、年会費が有料であっても、クレジットカード付帯の海外旅行保険が充実していれば許容範囲という考えもあります。

また、自動付帯にこだわらないで、航空券や空港まで行く電車バス代は必要なものですので、それらをクレジットカードで支払うことで保険適用になる利用付帯であることを面倒とは思わないで、うまく活用することも考えてみてください。

 

クレジットカード付帯保険で足りない分を補う海外旅行保険

クレジットカード付帯の海外旅行保険では心もとないときは、不足分を補うように保険を購入できる新・海外旅行保険【off!(オフ)】といった保険もあります。

一般的な海外旅行保険は一つのパッケージとして様々なケースに対応できる補償がセットになっていますが、新・海外旅行保険【off!(オフ)】では、自分でオーダーメイドして保険を組めるので、治療費だけ2000万円の補償額を選ぶといったことが可能です。

以下は、私が2週間ほど海外に行ったときに、クレジットカード付帯の保険と照らし合わせて、足りないものだけをオーダーしたときの内容です。

・傷害死亡後遺症障害:0円
・治療費:2000万円
・疾病死亡:0円
・賠償責任:1億円
・携行品:0円
・救援者費用:2000万円
・航空機手荷物遅延:0円
・航空機遅延:0円

0円になっているところは、クレジットカード付帯保険で十分カバーできるのでオーダーしませんでした。このようにオーダーメイドすれば、必要な海外旅行保険を割安に購入することができます。

救援者費用の2000万円については、家族が現地に救援に行くときの費用がカバーされる他に、治療を受けている本人(被保険者)を現地から日本の病院などへ移送するための費用にも使えるものです。治療の延長として考えたときに、考えておきたいオプションの補償だと思っています。

すべてコミコミの海外旅行保険(2週間)を購入すると5000円~10000円くらいするケースでも、このように必要なものだけオーダーできれば3000円位に抑えることが可能です。

 

病院に行く前にカード会社や保険会社に連絡する

海外で病気や怪我をしたときは、緊急事態を除き、クレジットカード会社や保険会社にまず連絡をして、提携の病院を紹介してもらった上で、治療を受けることをおすすめします。連絡先は、スマホに登録したりメモにしてお財布などに入れておきましょう。

サポートのしっかりしたクレジットカード会社では、予め病院側に連絡を入れてくれて、自分で出向いたときには面倒な手続きが必要なく治療が受けられると思います。

クレジットカード会社の案内に従って、提携先の病院で治療を受ければ、キャッシュレス(その場で代金を支払わないくてよい)で対応してくれるサービスもあります。日本語対応のできる病院を紹介してくれたり、必要に応じて通訳を手配してもらえることもあります。

アメリカのように救急車の出動で数万円がかかるような国では、体調不良があれば、痛みに耐えられなくなるほど我慢せず、早めに病院に行った方がいいです。

症状や条件によっては、カード会社の保険ではカバーされないので自費で受診してくださいと言われることもありますので、カード会社に事前に連絡してから病院に行った方が安心です。

クレジットカード会社への報告が事後になるときは、30日以内というように決まった期限内にカード会社に連絡する必要があります(領収書や支払明細が必要になります)。

海外旅行保険は使わないに越したことはありませんが、万が一を考慮して、クレジットカードを選ぶ際には、海外でのサポート体制もチェックしておきましょう。

※各クレジットカードの補償内容や利用条件は変更されることがありますので、ホームページにて最新の情報を確認してください

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