語学コースに通っている学生にとっては、早くカレッジや大学の正規学部に行きたいという気持ちはみな同じであろうと思います。そこで、語学コースには通わず、入学基準を満たすTOEFLのスコアアップを目指して学びたいという学生がいます。
TOEFLのスコアさえあれば大学へいけるという思いから、語学コースの授業をほったらかしにして、TOEFLの勉強のみに時間を費やす日本人学生がいます。
これは、個人の選択にもよりますが、学生ビザの問題もあり、あまり学校をサボってTOEFLなどの自習に費やすのは難しいと思います。
中には、授業をサボるのではなく、学期ごと休んでしまう学生もいます。学生ビザの都合、一年に2~3学期間は連続して出席しなければならないといった規則がありますので、学校に通っていないことは移民局に通達され、学生ビザの維持や延長にも影響してしまう可能性があります。
学生ビザでアメリカにきているのに、学校に通わず違法就労しているケースが問題になっています。学校に来ない=違法で働いていると思われてしまうため、出席率のチェックが厳しくなっています。こういった状況から、学校をサボるのはリスクが高いです。
昨今のTOEFLは、以前の文法中心のテストから実践的な英語へ移行してきています。
テストである限り、傾向と対策で試験問題を多くこなせば、高得点を取れるかもしれません。
しかし、TOEFLでは、大学内での会話をはじめ、北米の知識を必要とすることもあり、語学コースに通っていることは必ずしも時間の無駄ではありません(語学コースのレベルや質にもよります)。
例えば、TOEFLのリスニングでは、大学内の会話を主体にしたものがあります。現地のカレッジなどに通っていれば、日常的に体験する会話がテストに出てくることは珍しくありません。
他にも、TOEFLの中には北米の歴史や時事のニュースなどを知っていれば、簡単に解ける問題がたくさんあるます。つまり、語学コースではこいうったトピックは日常的に取り上げられるものなので、TOEFLにも十分役に立つことがたくさんあるということなのです。
「TOEFLのスコアさえあれば大学へいける」という考えには少し誤解があって、日本の大学のように入学だけを考えているのなら、これは後から問題になってくると思います。
すべてではありませんが、多くの大学は入学後、英語のテストを実施しています。このテストは、入学後すぐか、または大学で規定された期間以内(半年以内など)に受けなければなりません。
トピックを与えられて、エッセイを書かされることが多いようですが、これに合格しない場合は、次の学期に大学の授業を取らせてもらえないといったペナルティがあります。
大学付属の語学コースを終了したり、コミュニティ・カレッジで語学コース修了後、大学必修の英語(大学1年~2年生用の英語)を規定の成績で終了していれば、入学後の試験は免除されるケースが多いです。
多くの日本人学生は語学コースからスタートして、そのコースを修了してから大学やコミュニティ・カレッジの正規学部へ進むので、試験は免除されていると思います。そのため、こういった入学後の英語試験があることを知らない学生もいるでしょう。
大学の必須科目としての英語もあります。こちらも一定の成績を取らないと次に進めない(別の科目が取れない)ことになってしまいます。
留学生が英語の試験にパスできない場合は、その大学の語学コース、または、高校生レベルの英語クラスを取らされることがあります。それらのクラスを規定の成績で修了しないと、厳しいですが退学もあります。
せっかくTOEFLのスコアをあげて入学できたのに、結局、その大学にはいられなくてコミカレや別の大学へ転校したり、語学コースに通うのでは残念でしょう。
これなら、少し遠回りだけど語学コースでしっかり学んだ方がよかったということになってしまいます。
語学コースでは、大学で必要になるエッセイの書き方、スピーチの仕方、講義に合わせたノートの取り方なども習います。TOEFLのスコアだけあって、これらの知識がないときには、大学の授業についていくことが難しくなります。
アメリカの大学では、エッセイの提出が多く、調べたものをまとめる、自分の意見を決まった形式に収めて提出する技術が大切になります。これは大学の付属語学コースではみっちり指導されます。
日本の大学受験のと混同して、大学に入れればいい的な考えですと後々大変になってきます。TOEFLは大学入学に必要なものですが、総合的な英語力を身につけないと大学で学ぶことは難しいことを認識をして、バランスの取れた英語学習を心がけたいものだと思います。