こちらのページでは、語学学校と留学エージェントの関わりや利用についてご案内します。そして、手数料無料の良し悪しについても考えてみたいと思います。
一昔前のぼったくり留学エージェントは鳴りを潜め、近年は、留学手配無料をアピールした留学エージェントが増えています。
なぜ留学手配にかかる手数料が無料かというと、留学エージェントは学生を語学学校に紹介することで、学校側から報酬をもらっているからです。
留学エージェントからみれば、「学生一人紹介していくらもらえるか」というビジネスになります。
民間の語学学校は学生獲得に必死で、「日本人学生をうちの学校に入学させてくれたら、紹介料・報奨金を支払います」と言って学生を集めてくれるよう留学エージェントに依頼しています。
学校によって報酬は異なりますが、学生一人当たりいくらといった設定をしていたり、会社を通して語学学校等に納めた授業料の10~30%が報酬になるケースもあります。
何名以上紹介するとボーナスが出るという特典が提供されることもあります。
こういった紹介ビジネスは、語学学校や語学コースが主体です。職業訓練系のコースも一部ありますが、カレッジや大学の正規学部は余り関わっていないと思います。
こういったビジネス形態が分かると、留学エージェントが学生または学校のどちらを向いて商売をしているかによって、評価が分かれてきます。
留学エージェントを利用したときに、「私は余り興味ないのに、なぜこの語学学校を必要以上に紹介しようとするんだろう?」と思うことがあるかもしれません。
上記のビジネス事情を知れば、この学校の報酬が大きいのかな、たくさん紹介してボーナスを狙っているのかな・・・と冷静な判断ができるかもしれません。
無料で手配できる語学学校は限られている
だれでも無料の言葉に弱いでしょうが、留学手配が無料だからということで、ラッキーと喜んで飛びつくには少し待ってください。
まず、無料で手配できる語学学校や語学コースというのは限られています。
すべての語学学校で留学エージェントに報酬を用意しているわけではないからです。
留学エージェントとしては、報酬の無い語学学校は収入にならないので特別に紹介する意味がありません。
実は、留学エージェントで紹介している語学学校は全体の一部でしかありません。
厳選した語学学校だけを紹介しているの「うそ」?
単に自分たちの利益になる学校を紹介しているだけなのに、「カナダで厳選した語学学校だけを紹介しています!」というようなアピールをしている留学エージェントがいます。
こういった留学エージェントに、「本当にカナダで厳選した語学学校ですか?そちらで紹介されている以外でもっと有名なところいくつもありますよね?」と聞いてみたところ、「当社で紹介できる中で、厳選しているという意味です」という返事が返ってきたことがあります。
一部正直な留学エージェントでは、無料で手配できるのは提携先だけで、提携が無いところは別途手数料で手配できますといった案内をしているところがあります。
どちらに学生さんが引き寄せられるかといえば、「厳選した学校だけ紹介している」と過剰な宣伝をしている方というのが悲しい現実でしょう。
あえて言うなら、すでに人気のある語学学校、知名度のあるカレッジや大学の語学コースなどは、わざわざ報酬を出してまで学生を集めないことが多いです。
自分の行きたい学校を自分で調べるのか、それとも、留学エージェントに金が回る「厳選した」学校を紹介してもらうのか、慎重に検討してください。
留学エージェントに踊らされる学生?
語学学校からの報酬に頼っている留学エージェントは、たくさんの日本人学生をそれらの学校へ送る営業努力をしています。
つまり、留学エージェントを介すると日本人ばかりいる学校に行ってしまう可能性があります。
ある留学エージェントで、「ここの学校は日本人が少ないです」と言われていったものの、実際には日本人ばかりだったということがありました。
留学エージェントでは、語学学校から定期的に学校の情報を送ってもらっています。最近は、日本人スタッフがいることが多いので、日本語でメールを送ってくれるところも増えています。
提携先の語学学校から「今、日本人がすごく少ないです。うちの学校を紹介してください!」といった情報が入ってくると、複数の留学エージェントで「この学校は日本人が少なくていいですよ」と紹介してしまうことになり、その学校にわっと日本人学生が集まってしまうようなケースがあります。
日系ばかりではなく、韓国や香港系の留学エージェントもいるので、常に特定の語学学校に日本人ばかりが集まるとは限りません。
他の留学エージェントでは、「この語学学校は韓国人が少ないです」といった情報を出したとしたら、今度はそこに韓国人学生が集まってしまって、学校に行ったら韓国人ばかりだったというようなこともあります。
決して嘘をついて集客しているわけではないのですが、このように留学エージェントの情報で学生が振り回されるようなことがあります。
必ずしも無料ではない留学手配
無料ということでさっそく契約してみると、学校の申込代行は無料だけれど・・・他には色々お金かかかりますという話になるところがあります。
決して、高圧的でなくても、話の流れで断れない状況になって、よく意味の分からない入会金を支払ったり、書類作成1枚につき数千円、留学前の有料セミナーや現地サポートに数万円といったサービスを購入する羽目になる方もいます。
どこまでが無料でどこからが有料なのか、すべてを無料でやってくれるのか、それとも、利用上絶対に有料の部分が出てくるのか、契約する前にしっかり料金体系を確認してください。
時には、手数料をはっきり提示している方が、「無料」を連呼している会社より、隠れた費用がない分、安心できることがあります。
為替でピンハネしている?
授業料や滞在費を留学エージェントを介して支払うとき、1ドル100円と1ドル150円では総額で支払う額がだいぶ違ってきます。
たとえば、10,000ドルを海外の学校へ支払う場合、1ドル100円換算では100万円ですが、1ドル150円では150万円になります。
為替相場は常に変動しているので、急激な相場の動きに備えるために、多少幅をもたせた日本円での合計を提示している行為は否定しません。
しかし、一日で1ドルあたり10円も動いたら相場的には大ごとなのに、為替相場の変動があるからといって、1ドルあたり20~30円以上も幅をもたせていたら怪しいです。
10,000ドル支払いのケースでいえば、為替レートが1ドル100円のときに、業者が1ドル120円で計算していると学生側は20万円も余計に支払うことになります。
為替差益で儲ける行為は、利用者側にとっては何の付加サービスもありません。ただのピンハネと言われても仕方ない行為でしょう。これだけでも十分に業者側に利益が出ます。
また、留学エージェントでは、学生から集めたお金を社内で留めておきたい理由があり、学生から受取ったお金をすぐに現地の学校に支払わないケースがあります。
こういった留学エージェントは、学生から預かったお金を現地学校へ支払うまでの間に起こりうる為替変動に備えて、為替レートを実際のレートより高く設定している可能性があります。これでは、本来、業者側が負うべき為替リスクを学生が負わされていることになります。
良心的な留学エージェントでは、日本円表示ではなく、アメリカドルやカナダドルなど現地通貨で授業料やホームステイなどの合計額を提示して、その金額に大手銀行が出している為替レートを掛けて、日本円で支払いをするように依頼されることがあります。
留学エージェントが学生さんから預かったお金をすぐに現地の学校へ支払いをすれば、相場からかけ離れた怪しい為替レートを設定する必要がありません。
不明瞭な料金体系と加熱する競争
昨今の留学エージェントは、無料で留学手配することを売りにしているケースが多くなってきています。
ただし、語学学校から報酬をもらっている以上、その報酬経費は授業料等にある程度含まれていると考えるのが妥当です。
生徒さんからみると、手数料を直接払うか、間接的に払うか(授業料等に含まれる)の違いになるかもしれません。
語学学校の広告宣伝や報酬料アップの戦いが過熱すると、学校運営にかかる諸費用も上がってしまいます。毎年、同じ語学学校に申し込む人はいないでしょうから、年々、授業料などが値上がりしていても気がつかないでしょう。
学校側としては、授業料の値上げで対応できればいいですが、それができないときは講師の給料や運営費の削減につながり、学生さんが受けられる授業などのサービス低下にもつながります。語学学校の中には待遇の悪さから、先生たちがストライキを行うこともあります。
一部の語学学校では、自分で直接入学手続きするより、留学エージェントを通した方が料金が安くなるというような現象も生じています。
支払われる報酬やボーナス分を見越して留学エージェントが独自の割引をしたり、語学学校が学生獲得に躍起になって授業料を特別割引するなど加熱した競争が、同じ学校なのに申込先で料金が異なるという不公平を生むことがあります。
こういった料金の不公平さや不明瞭なところが出てきており、一部の語学学校の評判を落とす結果にもなっています。
海外留学エージェント利用の心配
海外にある留学エージェントの人気が上がっています。
現地にいるので情報に詳しく、留学後に現地サポートもあるし、留学手配は無料または格安になる点が人気の理由です。
留学手配が安くできる大きな理由の一つに、オフィスが海外にあることが上げられます。
日本では、しっかりオフィスを構えて営業している留学エージェントが多く、家賃だけでも相当の経費になります。
日本での法人税、特定団体への加盟料、事務所家賃、従業員の給与などを考慮すると、海外でオフィスを持った方が身軽でコストが安いです。
しかし、海外の会社との間で何かトラブルが起きたとき、どう対処するか考えていますか。
日本の会社でも法的な対処は難しいのに、海外の会社だったらどうでしょう。
ある日、海外にオフィスのある留学エージェントのホームページが無くなっていて、メールも電話も通じなくなったらどうするか考えてみてください。
日本語のホームページを出していても、海外の会社であれば、日本の法律で対処できることは限られてきます。
海外の行政機関や消費者センターのようなところに英語で連絡できますか。訴訟などはまず無理で諦めてしまうのではないでしょうか。
安いなりのリスクも十分考慮に入れて利用してください。お金のトラブルに関しては、留学エージェントに留学資金を預けるリスクを理解するのページも参考にしてください。
以前より健全化した留学ビジネス
一昔前、多くの留学斡旋会社(当時の名称)は、留学しようとする学生から法外な料金を取って留学手配をしてきました。
当時の大手留学斡旋会社は、実際にかかる費用の2~3倍の料金を取っており、200万円で留学できるとしたら400~600万円を学生に請求していた時代がありました。
今では格安料金の留学エージェントが台頭しており、留学が身近になってきたことはとても歓迎されることだと思います。
ただし、儲けが少なくなった分、簡単にオフィス閉鎖や倒産してしまうという別の問題が生じています。そして、そういった問題が発生した際、学生さんたちを守る法律は整っていません。
こちらのページでは、少し危機感を煽るような部分があったかもしれませんが、それくらい深く考えて欲しいということです。
なぜなら、大きなお金が絡む留学ビジネスには、未だ落とし穴があるからです。
一社に頼らないで、様々な留学エージェントに問合せるなど、多くの情報を得てからサービスを利用したり、契約をするように心がけてください。