アメリカとカナダは国土が広く、どこまでも続くようなハイウェイをドライブルすることはとても楽しいです。しかし、一旦、車が故障や事故で動かなくなってしまうと助けがすぐに来てくれなくて大変な事態になってしまうかもしれません。
隣町まで何百キロなんてこともありますから、途中で車が止まってしまうと大変です。しかも、日本のように親切な人が助けてくれるより、犯罪者に遭遇する確率の方が高い地域もあります。
携帯電話をはじめスマートフォンやタブレット端末などの通信手段が普及した今では、救助を呼ぶにはそれほど難しいことではありませんが、備えがないと便利なものがあっても役に立たなかいかもしれません。
スマートフォンの充電に気を配る
まずは肝心なスマートフォン(携帯電話やタブレット等も含む)ですが、これがないと連絡手段は厳しいです。電池の充電状況も考慮して、常に十分な時間、使える状態であることが大切です。
スマートフォンの充電は、ホテルに着いてからで大丈夫だろうと思っていたら、写真を撮ったりナビとして使ったりしているうちに、電池切れということもありえます。
予備のモバイルバッテリーや車内でも充電ができるUSBシガーチャージャーを持っていると安心です。
スマートフォンが使えなければ、通りがかりの車に助けを求めて、レッカー車(Towtruck)や警察を呼んで欲しいと頼む必要があります。
ヒッチハイクで乗せていってもらう手もありますが、危険なのであまりおすすめはできません。もちろん、状況によってはそれしか手段がなければ仕方ないこともあります。
地図は必需品
事故や故障で車が動かなくなったときは、助けを呼ぶのに自分のいる場所を伝えなければなりません。このため、地図は必需品です。
大体でもいいのでどこにいるのか伝えられないと助けを呼ぶことすら難しくなります。徒歩で次の街へ向かうにしても、何もないところを100kmも歩くことになれば、それだけでも危険です。
カーナビの地図情報は便利になっていますが、バッテリー上がりや事故で電気系統が破損してしまえば使えないことになるでしょう。
スマートフォンは、場所によって地図や位置情報がうまく見れないことがあります。また、電池残量が少ない時は、緊急時の電話に備えて、ネットに繋ぐのを躊躇してしまうことがあります。
このため、電気系に頼らない紙製の地図を用意しておくことをおすすめしたいです。地図はコンビニやガソリンスタンドなどで5ドル前後で売っていると思いますので、買って車に備えておいた方がよいでしょう。
むやみに動くより警察を待つ
ハイウェイを走っているとよくハイウェイ・パトロール(警察)が巡回しているので、交通量の少ないローカルな道を除いて警察を待つのが安全なことがあります。
怪しい人が、心配を装って探りを入れてくることがあります。車の故障が見た目分からない場合、車の窓を少し開けて、後から来る友達の車を待っているなどと言いましょう。
故障が明らかな場合(パンクやエンジンから煙が出ているなど)は、すでに連絡済みで助けがすぐ来るから(”Help is on the way. Thank you.”)などと告げるとよいでしょう。
助けを待っている身としては、停まってくれる車があったりすると「誰かが助けに来てくれた!」と喜んで車外に出てしまうかもしれませんが、車からすぐに出ずに様子をうかがってください。また、安易に他人の車に乗らないようにした方がよいでしょう。
中には、強引にドアを開けようとしたり窓を割る人もいます。こんな時のためにペッパースプレーやスタンガン等を車に携帯している女性が多い国ということを忘れないで下さい。
旅行の予定を伝えておく
古典的な方法ですが、出かける際には、家族や友人などに行き先を告げていくことも大切です。
行き先を告げて、「目的地に着いたら連絡する」といったような話をしておけば、それが実行されない時、何かよくないことが起こった可能性があると考えてくれる家族や友人がいるでしょう。
本人と連絡が取れないような事態になれば、そこから捜査依頼等を警察に連絡してくれるでしょうから、自分が連絡できない窮地にいても希望が持てるかもしれません。(警察が動いてくれるかは、状況により絶対的なものではないことは、一応、付け加えておきます。)
冬のドライブは十分な注意が必要
夏に車が止まってしまった場合は、変な人に絡まれるケースを除いて、直ぐ命にかかわる問題は少ないと思います。
冬は自然の驚異にさらされることがあります。寒い地方では、最低でもろうそくとライター、毛布、軽食料(チョコレートなど)を車につんでおいた方がよいです。
雪が激しく降っているときに車が動かなくなってしまうと車が雪で埋まってしまい、見つけてもらえる確率が非常に下がることがあります。
故障でなくても、雪道で車が滑って、道から外れてしまったり崖に落ちたりする事故もあります。道から外れると除雪していないため、脱出することが困難になります。
助けを呼ぶと言っても、雪の降っている中で、道に立って手を振っていたら、車にひかれる危険があります。こんな時は、動かず天気の回復を待つのが得策になるかもしれません。
歩いて次の街に行こうとする人もいるかもしれませんが、カナダやアメリカでは、次の街に行くまで数十kmから100km超のところが多いので雪の中を歩くのは危険です。しかも、自然の中や山を越えていくようなところもありますので、よほどの状況を除いて勧められる行動ではないと思います。
車の中で、ろうそく1本の暖かさで寒さをしのぎ助かったという話を聞いたことがあります。寒い地方で長距離運転するときは、ブランケットや寝袋なども積んでおいて、ちょっとした車中泊が出来るくらいに準備しておくとよいと思います。
エンジンをかけたまま駐車して、少し仮眠しているうちに、雪が降り積もってしまうことがあります。雨と違って、音がしないので、車の中で仮眠していると大雪になっていても気が付かないことがあります。
エンジンをかけたまま、車が雪で埋もれていくと排気ガスが車内入り込んで、一酸化炭素中毒になって死んでしまう事があります。
日本でもスキー帰りなどに、休憩で休んでいた方がこういった事故に陥ってしまうことがあります。
車のエンジンをかけている状態では、車の排気口が埋まっていないか、窓が少し開いているがなどのチェックをすることは忘れないでください。
ガソリン残量には常に気を配る
思いがけない故障や事故はどうしようもないですが、少なくともガソリンは十分入れておきましょう。
次のガソリンスタンドまで100km~200kmということは、都心から離れると珍しくありません。
ガソリン残量がギリギリで次の街に辿り着いたとき、そこに一軒しかないガソリンスタンドがお休み!ということがあります。
都心部周辺では24時間営業は珍しくありませんが、田舎ではオーナーの機嫌で早めに閉めてしまうスタンドもあります。こういったことからも、ガソリンの残量は常に余裕を持っていた方がよいです。
余裕を持ったスケジュールで旅行を楽しもう
時間的な余裕が無い状態でドライブや旅行に出てしまうときは、心の余裕が無かったりして、事故やトラブルに陥ってしまうことがあるかもしれません。
慣れない土地であれば、初動でミスをしてしまうと連鎖的にトラブルが続いてしまう可能性があります。
移動する時間帯にも気をつけたいところです。旅行などで強硬なスケジュールを組んでしまうと夜中に移動しなければならないことがあるかもしれません。
夜中は交通量が少なく、助けてもらえる確率が下がる一方、怪しい人に出会って危険に遭いやすいです。また、夜遅くになると警察が巡回していない可能性が高くなり危険度が上がります。
アメリカとカナダでは、都市部にいれば、24時間営業のコンビニやガソリンスタンドなど日本と変わらない便利な商業施設が整っています。
しかし、非常に国土が広いので、都市圏を出ると自然豊かで美しい景色が広がる反面、人が余り住んでいないため何かあった時に救助を呼ぶことも大変で困ることがありますので気をつけてください。