2019年アメリカのノーベル賞受賞者と関連大学

ノーベル賞 アメリカ留学の基礎

2019年のノーベル賞では、リチウムイオン電池の開発で吉野彰氏が受賞して大きな話題になりました。日本人が受賞したということは、とても嬉しく、日本人として自慢に思うところです。

日本人の受賞となると、メディアはその方だけに注目してしまうかもしれません。テレビを見ていて、最初は吉野氏だけが受賞したのかと思っていましたが、ネットの新聞記事などを読んで実際には他に二名の受賞者がいたことを知りました。

日本大好きで、日本自慢、日本を称えるよう偏ったテレビ番組が多い中、もう少し海外に目を向けてもいいのではないかと思うことがあります。特にノーベル賞では、アメリカ在住の大学教授や研究者たちの受賞が顕著です。

こちらでは、2019年ノーベル賞を受賞したアメリカの大学教授と関連大学を中心にご紹介したいと思います。アメリカ留学では、どの大学やどの都市に行くかを決めるときの参考にもなるのではないでしょうか。

2019年のノーベル化学賞はアメリカの大学教授2名と吉野彰氏が受賞

リチウムイオン電池の開発で、ジョン・グッドイナフ氏、マイケル・スタンリー・ウィッティンガム氏、吉野彰氏が、ノーベル化学賞を受賞しました。

ジョン・グッドイナフ氏(John B. Goodenough)は、テキサス大学オースティン校の教授です。スタンリー・ウィッティンガム氏(M. Stanley Whittingham)は、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の教授というように、お二人ともアメリカの大学教授です。

ジョン・グッドイナフ教授(テキサス大学オースティン校)

グッドイナフ教授は、イエール大学で学士、シカゴ大学で修士と博士号を取得しています。1986年からはテキサス大学オースティン校の教授として指導しています。

テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)といえば、この大学院で博士号を取得したジェームズ・P・アリソン博士が、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

また、2017年にはマイケル・ヤング博士(同大学院で博士号)が、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。この大学では3年も続いてノーベル賞に関わっています。

グッドイナフ教授は、Groton School(グロットン・スクール)というボーディングスクールに通っていたことも話題になっています。非常に優秀な中高の全寮制学校です。

グロットン・スクールは、政治家、大学教授、弁護士、官僚、起業家など優秀な卒業生が多数いる学校です。その中には、フランクリン・ルーズベルト大統領もいます。ちなみに、学費+寮費は年間600万円くらいかかるようです(2019年)。

テキサス大学オースティン校では、ジョン・グッドイナフ教授の受賞を伝えています ↓

スタンリー・ウィッティンガム教授(ビンガムトン大学)

スタンリー・ウィッティンガム氏は、イングランド出身、オックスフォード大学で学士・修士・博士号を取得しています。現在は、ビンガムトン大学(ニューヨーク州立大学システムに属する大学)の教授です。

ビンガムトン大学(Binghamton University)は、パブリック・アイビーと呼ばれるアメリカの公立大学のトップスクールの一つに数えられおり高い評価があります。

ビンガムトン大学で、ウィッティンガム教授のノーベル賞を伝えるツイッター↓

ノーベル物理学賞はアメリカ・スイス・イギリスの大学教授3名が受賞

2019年ノーベル物理学賞は、宇宙の進化の理論的発見に対して、プリンストン大のジェームズ・ピーブルズ教授、ジュネーブ大のミシェル・マイヨール教授、ケンブリッジ大学のディディエ・ケロー教授に授与されました。

ジェームズ・ピーブルズ教授(プリンストン大学)

ジェームズ・ピーブルズ教授(Dr.Jim Peebles)は、カナダ出身のカナダ系アメリカ人です。カナダのマニトバ大学(学士)を卒業した後、アメリカのプリンストン大学で博士号を取得しています。その後もプリンストン大学に留まり名誉教授となっています。

プリンストン大学は、アイビーリーグの一つで、アメリカの大学ランキングではハーバード大学と1~2位を争うことが多い名門大学です。

プリンストン大学でのお祝い風景がツイッターであげられていました↓

カナダのマニトバ大学でもお祝いムードで、ピーブルズ教授の受賞を伝えていました↓

マニトバ大学の学生からお祝いのメッセージと質問を受けるジェームズ・ピーブルス教授の動画↓

ノーベル医学・生理学賞はアメリカとイギリスの大学教授3名が受賞

2019年ノーベル医学・生理学賞は、ハーバード大学のウィリアム・ケーリン教授、オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ教授、ジョンズ・ホプキンス大学のグレッグ・セメンザ教授が受賞しました。

ウィリアム・ケーリン教授(ハーバード大学医学部)

ウィリアム・ケーリン教授は、デューク大学で学士~医学博士号を取得しています。ボストンにあるダナ・ファーバー癌研究所(ハーバード大学医学部関連の医療機関)の研究員となり、後にハーバード大学医学部とダナ・ファーバー癌研究所の教授となっています。

ハーバード大学は、様々な分野でアメリカ1位の評価をされている名門大学です。デューク大学も有名で、アメリカでトップ10に入る名門です。また、ダナ・ファーバー癌研究所は世界的に知られるトップクラスのがん治療機関として知られています。

デューク大学でウィリアム・ケーリン教授のノーベル賞受賞を伝えるツイッター↓

ハーバード大学でもウィリアム・ケーリン教授の受賞を伝えています。ウィリアム・ケーリン教授は奥様(乳癌専門外科医)をガンで亡くされており、奥様との思い出話もされています↓

グレッグ・セメンザ教授(ジョンズ・ホプキンス大学)

グレッグ・セメンザ教授は、ハーバード大学で学士、ペンシルベニア大学で医学博士号を取得しています。現在、ジョンズ・ホプキンス大学の教授です。

ジョンズ・ホプキンス大学は、世界的にトップクラスと評される医学部を中心にリサーチ系の大学として有名です。付属のジョンズ・ホプキンズ病院は、医療系の様々なニュースやドラマなどにも名前が登場してきますが、アメリカだけでなく世界でも屈指の病院として知られています。

ジョンズ・ホプキンス大学では、近年の受賞者として、アダム・リース教授(ノーベル物理学賞受賞/2011年)、キャロル・W・グライダー教授(ノーベル生理学・医学賞/2009年)、ピーター・アグレ教授(ノーベル化学賞/2003年)、リカルド・ジャコーニ教授(ノーベル物理学賞/2002年)といった方々がいます。

ジョンズ・ホプキンス大学でグレッグ・セメンザ教授のノーベル賞受賞を伝えるツイッター↓

グレッグ・セメンザ教授へのインタビューや大学でのお祝いセレモニーの様子を伝える動画です。教授だけでなく、大学スタッフや学生もとっても嬉しそうです↓

アメリカの大学の凄さ

2019年度のノーベル賞を受賞したアメリカの大学教授をご紹介しましたがどうでしたか。アメリカでは、毎年、ノーベル賞を受賞する大学教授の方々がいます。

こちらのサイトでは度々お話していますが、アメリカの大学には、優秀な人材が世界中から集まってきており、日本人の教授や研究者も例外ではありません。さらに、アジアでは中国や韓国からも優秀な人材が、どんどんアメリカの大学や研究機関に集まってきています。

受賞者全員が生粋のアメリカ人とは限らないことがありますが(例、ジェームズ・ピーブルズ教授はカナダ出身)、アメリカの大学教授や研究者として長年活躍していることは確かでしょう。アメリカの医療・教育・経済、テクノロジーなどの底力を感じるところです。

ノーベル賞を受賞した多くの教授が、学生や研究生だった頃に指導してもらった教授に大きな影響を受けていると思います。

受賞者個人の資質や能力ももちろん高かったでしょうが、メンターとして優れた教授から学んだり、共に研究したり、また、その教授の下に集う優秀な学生たちと切磋琢磨したことで、自分の能力を開花させた方が多いのではないでしょうか。

アメリカの大学院に交換留学や短期留学した日本人学生や研究者から、アメリカの大学は研究資金が潤沢で、最先端の設備が整っていて羨ましかったという話をよく聞きます。

アメリカの大学では、政府の支援だけではなく、個人や企業から多額の寄付を受けています。その額が半端ではなく、何十億~百億円という単位で寄付されたり、時には最先端のコンピューターがズラッと並ぶ施設や高度な研究設備の整ったビルをまるごと提供してもらう大学もあります。

有名な大学ばかりではなく、地方の州立大学やコミカレでも、地元企業をはじめその地方出身の起業家や資産家などからの寄付によって、恵まれた学習環境が整っているところはいくつもあります。

大学のホームページやブログなどでは、研究施設の紹介や寄付がどのように大学に活かされているかといった情報が出ていますので、自分が学びたいことと兼ね合わせて、留学先の大学を決める一つの指針としてもいいと思います。

整った環境で学べるのは、大学院生ばかりではなく、大学生でもその恩恵を受けることができます。しかし、アメリカの大学はピンきりと言われ格差が激しいので、どの大学でもよい教育環境や設備が整っているわけではありません。その辺りはしっかり調べて自分の望む環境で学べるように努めてください。

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