奨学金がもらえると宣伝する留学エージェントに注意

留学と奨学金 留学エージェント

一部の留学エージェントでは、「奨学金をもらってアメリカの大学に行こう!」と言って勧誘するケースがあります。

無垢な学生さんは、「奨学金がもらえる=留学費用の負担無し」で大学に行けると思ってしまうかもしれませんが、実際にはそう単純ではありません。

まず、奨学金についてですが、政府や大使館、地方自治体、企業や財団、大学などから支給されます。

これらの奨学金は、1~2学期くらいの学費等を負担してくれるものが多いと思います。基本、1年未満など短期間です。

奨学金を提供している団体などが大学に授業料を支払ってくれたり、大学から直接提供される奨学金の場合は、授業料が免除になったりします。

政府レベルや財団系の高額な奨学金は、ごく一部の学生にしかチャンスはありません。4年間の大学費用を出してくれる奨学金は、超優秀な一握りの学生が得られるもので、残念ながら、一般の学生向きではありません。

アメリカの大学には、大学が直接提供している奨学金に加えて、大学に協賛してくれる会社や団体などから提供される奨学金が色々あります(奨学金の種類や数は大学の規模や知名度などにより異なります)。

たとえば、IT関連会社が出してくれるコンピューター系学部の学生のための奨学金、特定の宗教信者を対象にした奨学金、特定の国から来ている留学生に限定した奨学金など様々なものがあります。

学期ごとに500~1000ドルを奨学金として出してくれたり、留学期間に応じて10万円~100万円程度を負担してくれるといったような奨学金があります(金額は一例)。

大学や関連団体が提供している奨学金は、金額はそれほど大きくないものが多いですが、細かい分野に分かれていて、たくさんの学生にチャンスが与えられるようになっています。

さて、留学エージェントでは、こういった大学などから提供される奨学金ネタをうまく使って、「奨学金をもらってアメリカの大学に行こう!」といった宣伝をするケースがあります。

多くの学生に奨学金のチャンスはありますが、前出のとおり、授業料の一部しか出ないものがほとんどで、留学資金の一部でしかありません。

奨学金でアメリカの大学に行けるといっても、すべてが奨学金でまかなえるわけではありません。

奨学金でアメリカの大学に行けると夢を抱いてしまった学生さんは、事実を知った後でも諦められなくなってしまうことがあります。

ここで諦めるのは悲しいから、「資金が足りないなら学生ローンなどを組んだらどうか」と留学エージェントは勧めてくることがあります。

奨学金で大学に通えると思ったのに・・・という失望感から冷静な判断ができなくなって(そこがエージェントの狙いなので)、安易にローンを組んでしまわないように注意してください。

「奨学金をもらえないなら留学はしない」と留学エージェントに言っても、すでに留学手配を申込んでしまっているケースでは、途中でキャンセルする行為に対して、ペナルティー的な手配料実費や違約金が生じます。

実費は手続き内容や日数によりますし、違約金は最低でも数万円は取ってくると思います。その時点で結構な損失です。

無料(奨学金)で留学するはずが、ここまでくると色々なものにお金をつぎ込んでしまうことになるでしょう。昔からよく言いますが、「ただより高いものは無い」ということになってしまうかもしれません。

地方大学は都市の大学に比べて奨学金獲得の競争が緩いので、留学エージェントの中には、地方の大学を勧めるケースもあります。

確かに地方大学の方が競争率が低く、生活費や学費が比較的安いので留学しやすい環境にあります。

しかし、ほんの少しの奨学金をもらうために、特に自分が希望しているわけでもない地方の大学に行く価値はあるでしょうか。

もし成績が良い学生であれば、バイトしながら日本の優秀な大学に行った方が将来性がある進学になるかもしれません。

留学エージェントが「奨学金で留学できる」と勧めている場合、下記の点を留学エージェントと契約する前に確認してください。

・奨学金はいくらもらえるのか?

・どの程度の確率で奨学金がもらえるのか?

・どの団体や大学から提供される奨学金なのか?

・奨学金がもらえる期間は?

・奨学金がもらえない場合はどうなるのか?

・奨学金の返済は必要なのか? →(奨学金と称したローンの可能あり)

・途中でキャンセルは出来るのか?

・途中解約した場合はいくら支払うのか?

契約する前というのが大切なところで、一般に「奨学金申込み」と「留学手配申込み(大学入学申込み)」はセットになっていると思います。

とりあえず、奨学金の審査を受けてそれに通った後で、留学エージェントに留学手配を依頼するいう流れではないのです。

大学が支給する奨学金は、その大学に通うことが前提になるので、基本、合格したら奨学金が出る(奨学金のオファーがくる)という流れになります。

ちなみに、大学以外の民間団体や財団等は、奨学金申込み時点での学生の学力等を独自判断して審査をします。その後、奨学金が支給されて留学する流れになります。こういったシステムと混同しないようにしてください。

誰にでもチャンスがあります!と言われてると、その気になってしまうかもしれませんが、単にチャンスがあるだけで、必ずもらえるというわけではありません。

また、大学を卒業したいと思っているのに、奨学金がもらえる期間が短かったり、奨学金の額が少なかったら、わざわざその奨学金を基準に留学計画を立てるべきではないかもしれません。

奨学金がもらえるというから留学エージェントを通したのに、大した奨学金はもらえなくて、結局はエージェントに払う手数料の負担の方が大きいとなれば、大切な資金が無駄になってしまうでしょう。

奨学金情報につられて損をしないように、奨学金がもらえるといった情報を強調している留学エージェントには、少し慎重になった方が良いと思います。

留学エージェントが自社で奨学金を提供しているなら別ですが、アメリカの大学等が提供している奨学金なのに、いかにも自分たちがその運営や審査に関わっているようなニュアンスを出して宣伝している留学エージェントは要注意です。

奨学金の可能性を否定するものではありませんが、それに夢を託している学生さんの気持ちを利用する人たちがいることも知っておいてください。

本来、進学を援助するための奨学金であるはずなのに、それを得るために別の費用が色々関わってくるとなったら、これは怪しいと警戒した方がよいでしょう。

参考リンク:

日本学生支援機構:国が実施する貸与型の奨学金です。 一部、留学エージェントでは、「奨学金」を使って留学するというキャッチフレーズで勧誘していますが、実はこの貸与型の奨学金のことがあります。これは奨学金と称したローンで返済義務がありますので注意してください。

海外留学奨学金検索サイト:日本学生支援機構サイト内にある海外留学奨学金制度の検索ページです。留学先や学部などを選んで奨学金を探すことが出来ます。※検索結果の中で「貸与型」と記載されている奨学金は、奨学金と称したローンです。

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