ホームステイで何か問題が起こったとき、留学生が常に疑われる対象になってしまうことがあります。Why me?と叫びたくなる時があるかもしれません。
新しくホストファミリーになる人達にとって、見ず知らずの留学生を受け入れるということは、時には、懐疑心の固まりをほどいていくような場合もあります。
物がなくなっていたり何かおかしいと感じたとき、一番初めに疑われるのが、留学生というケースも少なくないです。
もし、自分に非がないときは、はっきり自分ではないことを伝えましょう。
自分の無実を訴えても、一旦疑われるとなかなか信頼関係の修復は難しくなることがあります。その際には、そのホストファミリー宅での生活は難しいと考える必要があるかもしれません。
私はホームステイしていた家で、喫煙していると疑われたことがあります。
2番目に滞在したホストファミリー宅にあった火災警報器が時々作動し、私がこっそり部屋でタバコを吸っているのではないかと思われていました。
ホームステイ宅では禁煙ということは重々承知していましたし、私はタバコを全く吸いませんでした。
タバコはおろかマッチやライターすら持っていないことを伝えましたが、私の部屋の近くの火災警報器が時々煙を感知している記録があるといって疑いは晴れませんでした。
ホストファミリーの夫婦は子供がいなかったので、二人が仕事などで出ているときは私しか家にいませんでした。
このことから、私しか原因になる人間がいないので、彼らからすると「なぜ、正直に言わないのか!」といった雰囲気になっていました。
それからというもの、納得のいかないホストファミリー(特にホストマザー)は、私が学校に行っている間に私の部屋を調べたり、何度も何度もタバコを吸っていないか?と聞いてきました。
「正直に言っていいんだよ。怒らないから」と優しく言われることがあったり、時には厳しく「嘘はよくない!家が火事になったらどうするの!」と言われることもありました。
神経質なホストファミリーは、火災警報器が「ピッ」と一瞬鳴っただけで、ノックもせずに私の部屋に飛び込んできたこともありました。きっと、現行犯で捕まえてやろうと思ったのでしょう。
なぜ警報機が「ピッ」と1~2回だけ鳴るのかを調べたら、単なる電池切れのサインで、人を疑うのも大概にしてほしいというレベルでした。
2~3ヶ月も疑われたままの状態でしたが、ある日、火災警報器を取り付けた会社が定期点検にきて、警報器が故障していて誤作動していることを見つけました。
新しい警報器に取り換えてもらって「一件落着」みたいになったのですが、私としては全く納得のいかない事件となりました。
警報器の誤作動だったことが分かったのに、夕食のときに「警報器が故障していて取り替えたよ」と苦笑いしながら言うだけで、私を疑ってきたことに対し何の謝罪もありませんでした。
ホストファミリーとしては、散々疑っておいて今更謝罪するのは体裁が悪すぎるという気分だったのかもしれません。
どこにでもこういう大人はいると思いましたが、「疑ってごめんなさい」という言葉があれば、心が休まる部分があったでしょう。
その後半年間、自分としてはホストファミリーとの関係を改善しようと頑張ったつもりでしたが、人を疑っておいて謝罪すらしない性格の人達ですから、この一件に限らず他にも問題が発生して、最悪なホームステイになってしまいました。
正直、あきらめが肝心、さっさとホームステイを変えればよかったとさえ思ったものです。
ホストファミリーとの人間関係は、個人個人によって違いがあると思いますが、一度壊れてしまうとなかなか収拾がつかないものかもしれません。ここで頑張るかどうかは個人の判断によるでしょう。
前出の話はカナダでホームステイしたときのものですが、留学生の間では、「カナダ人は謝らない」という話がよくありました。この件に限らず、私も実体験から何度もそう思ったことがあります。
多民族国家のカナダでは、異なるカルチャーの人々が温和に暮らすために、頻繁に謝罪する文化があると言われています。実社会は教科書通りにはいかないものですが、カナダ人は謝らないというのは、アジア人や留学生に対してだけに限定されるという人たちもいました。
人種で括ってしまうことは端的で好ましくありませんし、個人差や地域差もあるので一概には言えませんが、一度崩れた信頼関係を取り戻し、ホストファミリーと本当の家族のように生活できるようになった日本人の友達もいたことを付け加えておきます。