アメリカのコミュニティー・カレッジとは?

コミュニティーカレッジ留学 留学先の大学・カレッジ選び

アメリカに留学するとき、コミュニティー・カレッジで学ぶという選択肢があります。

コミュニティー・カレッジ(以下、コミカレ)は、名前からも想像できる通り、その多くは地域に密接した教育機関として発展してきた歴史があります。現在では広く扉を開いていて、たくさんの留学生も学んでいます。 

アメリカでは、ジュニア・カレッジ、テクニカルカレッジ、シティー・カレッジなどと呼ばれることもあります。アメリカには、コミカレだけで1,000校以上ありますので、幅広い選択肢があります。

大概は2年制であることから、日本の短大と同様に思われることが多いようですが、それ以上に豊富なコースがあり、十分に理解されていない点もあるかと思います。

コミカレは、学部コース(短期大学士)、語学コース、大学編入コース、そして、専門学校の役割も担っていることがあります。週末や夜間には、カルチャースクールのように単位のない社会講座、教育プログラム、趣味に近いコースが提供されていることもあります。

大学と少し違って、同じコミカレの中で、短大生から専門学校生まで異なる目的を持った学生、そして、幅広い年齢層の学生が学んでいます。

こちらでは、コミカレについて簡単にご案内します。

コミュニティーカレッジ

Photo by Clemens v. Vogelsang

幅広いコースがあるコミカレ

コミカレには大きく分けて、アカデミックコース(学部コース)、大学編入コース、コミカレへ入学するための補助コース、職業訓練&資格コースがあります。

☆アカデミックコースでは、一般教養からはじまって、文系や理系、ビジネス一般、国際関係、福祉、幼児教育、観光、言語学などの分野を学ぶことができます。日本でいうところの短期大学士を目指すコースです。

約2年程で卒業ができて修了証書がもらえるので、2~3年の留学を計画している人には、適しているかもしれません。

☆大学編入コースは、4年制大学に進むためのコースです。コミカレのアカデミックコースと重なる部分がありますが、1~2年生の間はコミカレで学んで、3年生から大学へ編入するものです。

大学編入コースーは、提携大学と同程度の教科がコミカレで提供されているため、それらの単位を大学へ移行できます。ただし、編入先の大学によって指定される成績が決まっているため、テストの成績等が低いときには編入ができなかったり、単位を認めてもらえないことがあります。

大学編入コースとコミカレのアカデミックコースの違う点は、アカデミックコースは、コミカレ独自でコースを設定しており、科目によっては、他の大学との単位交換をしていません。アカデミックコースを終了して大学に編入しようとしても、すべての単位が認められないことがあります。

大学編入コースは大学に編入することが目的で、終了しても修了証書(短大卒のような資格)は出ないことが多いです。修了書をもらうには、カレッジ卒業規定のコース(大学編入・進学コース以外のコース)を追加で取る必要があります。

留学生の場合、途中で帰国しなくてはいけなくなったり成績が思うように取れず大学に入学できなくなり、大学編入コースからアカデミックコースに切替えて修了書を手に帰国する人もいます。

☆コミカレへ入学するための補助コース(語学コース含む)は、高校を卒業していない人のための高卒資格取得、そして、留学生で語学力が足りない人のための語学コースなどがあります。

コミカレに入る学力や資格が足りないときは、こういった補助コースで力をつけてから、正規学部へ入学します。

入学時に英語と数学などのテストが行われることがあり、高卒であっても、学力が足りないと判断されるケースでは、高校生レベルの数学や物理などが必須とされることがあります。

私が入学した時には、他の留学生と一緒に英語と数学のテストを受けさせられました。語学コースに申込んでいたので、クラス分けのために各自の英語レベルを判断するテストは仕方ないとしても、数学のテストは予め聞いていなかったのでびっくりでした。

英語のレベル分けテストも余りよくなかったのですが、数学のテスト結果も悪くて、語学コースと並行して、高校生レベルの数学を取るように言われました。

他の日本人学生も同様だったのですが、数学ができないというより、英語レベルが低かったので、英語で質問されている部分が何を問われているのか分からなくて答えられなかったという状況でした。実際、高校生用の数学のクラスを受けてみると決して難しいものではなく、結局は語学の問題でした。

☆職業訓練&資格コースでは、様々な職業に就くための訓練や資格取得のための学科が用意されています。日本の専門学校では、IT、美容、観光、調理、映像技術、工業系などそれぞれ学校が分かれていますが、コミカレでは同じ学内で提供されていることが珍しくありません。

パソコンの扱い方から始まって、ワードやエクセルといったビジネス系ソフトの使い方、英文のライティングやコミュニケーション、会計といった課目は、多くの職業に共通して必要なもののため、異なるスクールでそれぞれ課目を設置するより、コミカレでまとめてやるのは効率的でしょう。

都市部にはたくさんのコミカレがあって、それぞれ特色を出しているケースがあります。あるコミカレではIT系、別のところでは観光系に強いといったことがあります。

どこのコミカレに行っても、一通りの専門コースが用意されているわけではありませんが、規模が比較的大きなコミカレは多彩なコースが提供されています。小さいところでは、地元産業に密着した専門性の強いところもあります。

費用が大学に比べて安い

コミカレは州立や公立が多く規模が小さいことから、大学より授業料が低く設定されています。特に地方にあるコミカレは、都市にあるコミカレより運営費が抑えられているようです。一部、専門性の高いコースは高額になることがあります。

地元学生としては、大学に行くのは非常に高額のため、そこまでして進学すべきか迷う学生が多いようです。

大学の学費を捻出することは大変なため、費用の安いコミカレを選び、さらにパートタイムで通うようにして、仕事と学業を両立している学生がたくさんいます。

1~2年生の間はコミカレで学んで出費を抑え、3年次から大学へ編入していく学生もいます。こういった学生の中には、留学生も含まれます。

日本で地方の短大や専門学校に通って、3年生から関東や関西の大学へ編入するという方法はあまり一般的ではありませんので、この辺りにギャップがあるかもしれません。

入学基準が緩いコミカレ

大学に比べるとコミカレは入学しやすいです。大学はピンキリですので一概にはいえませんが、同じ地域にある教育機関として見た際に、コミカレの方が入学基準は低い傾向にあります。

このため、コミカレの学生はレベルが低いという評価をされることがあります。確かに、大学に比べて学習意欲の低い学生が多少目立つこともあると思います。

しかし、地方では大学が無くコミカレしか選択肢がないことがありますし、財政的な理由でコミカレを選んだ学生は学習意欲が高く、必ずしも学生のレベルが低いとは言い切れないことがあります。

また、高校の成績がよくなかったため、大学へ直接入学できなかった学生でも、コミカレで努力するれば大学へ編入学できる制度があります。この制度を利用して、大学へ行こうと頑張る学生がいます。

比較的入学しやすいというのは、その制度を利用する学生がいかに活用するかによって、良くも悪くもなるということでしょう。

就職に有利な資格&専門コースがあるコミカレ

コミカレには、日本でいう専門学校に近い職業訓練や資格取得コースががあります。

不動産、秘書事務、簿記会計、旅行業務、整備士、パイロット、プログラマー、看護士、保育士など様々な職業に通じるコースが用意されています。

地域の企業と提携して、人材の育成や研究を行っているところも数多くあります。企業から最新のコンピューターやソフトウエアが無償で支給されるたり、最前線で働く企業人を講師として迎えているところもあります。

このような状況から、早く就職したいと考える学生は、コミカレで技術を身につけ良い就職を目指します。

大学を出ても、即戦力にならない人はなかなか就職先が見つからないことがあります。そのような人たちは、大学卒業後、資格や職業訓練を求めてコミカレで学ぶことが珍しくありません。

カナダのコミュニティー・カレッジについてのページでも詳しくご案内していますので参考にしてください。

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