TOEFL iBTは、アメリカやカナダといった英語圏の大学やコミュニティカレッジ(コミカレ)などに入る前に受験をして、スコアの提出を求められるテストの一つです。
基本的に、アカデミックなレベルでの英語力を測るためのもので、留学生が大学の講義についてこれるか、その英語レベルを問われるテストと考えておいた方がよいでしょう。
大学やコミカレでは、TOEFLのスコアが入学合否のボーダーラインの一つに設定されています(入学の合否は、高校の成績やその他のテストやエッセイなども考慮されます)。
TOEFLは4つのセクションに分かれており、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングがあります。こちらのページでは、リスニングについてお話していきます。
TOEFL iBTリスニングのテスト
TOEFL iBTリスニングのテストでは、基本、アメリカの大学内での会話や講義などを聴いて、その内容について質問され、選択肢から答えを選ぶという形式になっています。
アメリカやカナダなど英語圏の大学やカレッジに留学した学生であれば、誰もが経験するであろう場面が、リスニングのテストに登場します。
キャンパスで学生二人が会話してる場面、ビジネスのクラスで教授が講義している場面、教授と学生があるトピックについて議論している場面など、大学で繰り広げられる会話などが試験内容になっています。
大学の講義については、ビジネス、政治、社会、芸術、文化、気象、歴史などがあり、どの分野がテストに出てくるか分かりません。
人によっては苦手な分野もきっとあるでしょう。私はサイエンス系が苦手て、その講義の会話がリスニングテストで出てきたときは「終わった~」と半分諦めたことがあります(笑)
テストでどのように質問されるかという例ですが、アメリカの大学講義の内容を聴いた後で、以下のような質問が続きます(テストではすべて英語です)。
質問1:教授は何のトピックについて話をしていましたか?
質問2:○○に対する教授の意見はどういったものですか?
質問3:講義で取り上げられた△△の定義は何ですか?
質問4:□□の試みは、なぜ失敗したのでしょうか?
自分で興味のある分野であれば、英語のハンデがあって回答を導き出すことができるかもしれませんが、そうでない限りはしっかり聴き取れないと厳しいです。
TOEFL iBTリスニングで点数を上げるためには、様々な分野の英語に慣れることが必要で、英字新聞や時事ニュースを扱う英語教材などで学習することをおすすめします。
The Japan Times系の英字新聞の記事は、英語で知識を広げるだけでなく、大学入試でも出題されたケースが数多くあり、日本の受験でも役立つと思います。※参照(PDF資料):STを活用して大学入試を突破しよう!
TOEFL iBTリスニングのテストサンプル
どんな内容がリスニングテストで出されるのか、下記の動画で聞くことができます。
TOEFLはアメリカの団体が運営しているもので、アメリカ英語が基本ですが、試験ではイギリスやオーストラリアの方が話しているようなことがあり、アメリカ英語に慣れていると難しく感じてしまうことがあります。
また、少々滑舌の悪い教授役もいて(実際にそういった教授もいますが)、聴き取りにくいこともあります(涙)
大まかな会話の内容は理解していても、細かいディーテールまで記憶していないため、解答に迷うことがあります。そのため、会話の内容を細かい部分までメモを取った方がよく、ディクテーションという技術も大切になってきます。
これからTOEFLの学習を始める際は、リスニングテストで何が話されているのか、余りよく分からないといったこともあると思います。リスニング初心者の内は、まずは英語をたくさん聴いて、慣れるようにしてください。
テスト時間は60~90分となっていて、なかなかの長丁場です。大学講義の時間と思えば一般的な長さですが、英語に慣れない内はこれだけの時間、ずっと英語を聞くのは忍耐力が要ります。やはり、それなりの慣れが必要でしょう。
実際のテストでは、ヘッドフォンをつけた状態でリスニングのテストが行われます。しかし、周りの音が一切聞こえないわけではありませんので、集中力も大切です。
一昔前は、スピーカーから聴いていた時代もあり、試験が周りの音に大きく影響されることがありました。それに比べたら、環境はよくなっていると思います。
たくさん英語を聞いて慣れること
リスニングを上達させるためには、英語をたくさん聞くということが大切だと思います。
無料で学習できるというところでは、Youtubeを利用してもいいですし、NHK WORLDという海外向けのNHK番組(英語版)を観るといったことでもいいでしょう。アメリカのニュース番組であるCNNやCBSなどを利用してもいいと思います。
効率的に学ぶという意味では、日々の学習スケジュールやペースメーカーになってくれる教材があると便利です。
スタディサプリENGLISH(日常英会話コース)は、月額1000円位の学習アプリで、ゲーム感覚で学習できるような仕組みになっています。
ドラマ式の会話レッスンが数多く用意されていて、たくさん英語を聞くことができます。1回3分のレッスンなので、休み時間や移動中などスキマ時間を活用できるのではないでしょうか。
スタディサプリENGLISHでは、日常会話を聞くだけはなく、英語力をアップできるように様々な工夫がなされています。
聞き取った内容を記録するディクテーションのレッスン、会話ではとても重要になる英語の繋がる音の解説なども含まれています。
確認用のクイズも用意されているので、自分の理解度チェックも容易にできます。日常会話のコースとはいえ、初心者にとってはオールラウンドで学べる内容になっていると思います。
Youtube、NHK、学習アプリなど自分のレベルにあったものを選んで、毎日、継続して英語を聞くように努めてください。
大切なことですが、音楽のように単に聞いていればいいというわけではなく、内容を理解するという目的を持って聞いてください。理解するためには、単語力や基本的な文法も必要です。
英語で何を話しているのか分からない、解説もないといったものをダラダラ聞いても、そのうち理解できるようになるという単純なものではないと思います。
背伸びをして難しい番組や学習教材を選んで英語を聞き流しにするのではなく、基礎から固めていくつもりで、レベルに合わせて学習した方が効率がいいと思います。
TOEFL用の教材を使って本格的に準備する
TOEFLリスニング専用の教材は、どれを選ぶべきか迷うところだと思いますが、参考書&問題集から手軽に始めるのであれば、TOEFLテストリスニング問題190といったものがあります。
これ一冊で、TOEFLテストリスニングがどういったものなのか、傾向と対策、サンプル問題まで行うことができます。
リスニングを徹底的に強化したいのであれば、たくさんの方が利用している1000時間ヒアリングマラソンがあります。1000時間というと大変そうに思えるかもしれませんが、1年をかけてコツコツやっていこうというものです。1000時間は一つの目標であって、成果を出すにはそれくらいの時間が必要といってもいいでしょう。
1000時間ヒアリングマラソンでは、ただ聞き流すだけではなく、全体の大まかな把握をする聞き方、内容の正確な理解を目指す聞き方の訓練などが含まれています。こういったリスニングのテクニックは、TOEFLでも必要となる技術です。
毎月新しく制作される教材で、最新の海外ニュースをはじめ様々なジャンルの英語が含まれていますので、TOEFLの学習にも役立つでしょう。 (ヒアリングマラソンは、2021年4月22日にて終了しました。)
ただ聞いているだけでは聞こえてこないネイティブの英語
英語をネイティブスピーカーのように話せるようになろう!ということで、リエゾン、リンキング、リダクション、コントラクションなどが解説されることが多くなってきたと思います。
日本語では、連結、短縮、脱落などと呼ばれることがありますが、日本の学校では、余り取り上げられてこなかった発話方法です。
日常英会話では、子音を無視して発音しないことがあったり(例、goingのgを発音しない)、2~3語を繋げて発話されることがあります。
単語をつなげて発話するものでは、Thank youが分かりやすいでしょう。一語づつ、サンク・ユーとは言いませんね。センキューというように、この2つの文字を繋げて発音します。
Thank youはカタカナ英語になっていますので分かりやすいかもしれませんが、省略されたり繋がったりという発話パターンがいくつもあって、それらを知らないと英語が聴き取れないことがあります。
ネイティブが話しているときに、「not」が聞き取れないという方もいます。否定形が聞こえないのは、リスニングテストでは致命傷になってしまうでしょう。
シンプルなところでは、I don’t knowがあります。ネイティブスピーカーは、アイドンノーといった感じに発話します。
通常の会話では、アイ・ドンド・ノウと区切って、はっきり言ってくれません。don’t knowの部分は、ドンノーやドノーのようになってしまうので、聴き取りにくいことがあります。
もう少し複雑なものでは、I am not a studentという文を発話するときに、これもまた、単語を一つ一つ区切って言うことは少ないです。
I am not aとstudentで区切って、アムノラ・スチューデントという感じで聴こえます。I + am + not + a が繋がって発話されてしまうと、どこにnotが入っているの?というように聴き取れないことがあります。
実際の発話をベネッサ先生の動画レッスンでチェックしてみてください。よく使われる日常会話文の中から、上で説明したリンキングやリダクションなどを分かりやすく解説してくれています。ちょっとハイテンションな先生なので、やる気が出てきますよ^^v
カナダのアダム先生の動画では、ネイティブスピーカーのように話すためのシンプルなルールを3つ紹介してくれます。TOEFLのリスニングにも役立つと思います。アダム先生は、語学コースで教えるようなアカデミックなレッスンでありながら、生徒が飽きない程度のトークも織り交ぜていて優れています。
アメリカやカナダで語学学校に通っていても、学校の先生が言うことは理解できるのに、一般のアメリカ人やカナダ人の言っていることが理解できないという生徒さんは結構多いと思います。
教室内では、先生が分かりやすいようにゆっくり丁寧に話してくれているので理解できるわけですが(上記の動画レッスンも同様)、教室から外に出れば、一般の人達は先生のように一語一語丁寧に話してくれません。
先生の英語は理解できるのに、どうして一般のアメリカ人やカナダ人の言っていることが分からないのだろう?と思ったら、こういった発話のルールを調べてみてください。
まずはスタンダードでクリアに発話する英語が大切
ネイティブぽく聞こえる英語の話し方は、私達日本人にとってはちょっと憧れるところがあると思います。
どうやったらアメリカ人のように話せるようになるか、といった動画レッスンや英会話教材がたくさん出てきていて、興味を持つ機会も増えているでしょう。
こういった日常で使われる発話を覚えれば、今まで聞こえてこなかった単語が聞こえるようになってくることがあると思います。
また、アメリカ人の話す英語が早すぎて聞き取れないと思っていたものが、短縮や繋げる発話を知ることで、速いスピードにもついていけるようになることもあります。
ただし、アカデミックなレベルで教えている語学講師の中には、日常英語の発話パターンは知っていた方がよいけれど、必ずしも練習する必要はないという方がいます。
英語の基本もままならない状態で、適当な発音をすることを避けて欲しいというところもあると思います。
また、日常でのカジュアルな英語は、友達同士では使いますが、職場やフォーマルな場所では使わないことも多いです。
語学学校のクラスでは、省略した発話をしたとき、先生から正確に発話してくださいと言われ、言い直しをされられることがあります。
とはいえ、英会話の中で頻繁に使われる発話方法なので、知っておかないとリスニングでは困ることがあります。
まずは、学校で習う英語(いわゆるフォーマルな英語)とは違う、日常で話す英語があるということを知って、日常英会話の発話パターンを学んでおきましょう。そこばかり無理にレッスンする必要はないと思います。
あなたがアメリカの大学やカレッジへ行くために英語を学んでいるのであれば、語学コースなどのテキストに従った英語をしっかり学んだ上で、徐々にネイティブスピーカーのように話せるようにしていけばいいと思います。
点数が取りやすい?リスニングセクション
点数が取りやすいというのは語弊があるかもしれませんが、他のセクションに比べて、リスニングは早い段階で点数を上げやすいのではないかと思います。
ライティングやスピーキングは、トピックを与えられてあなたの意見を求められるものです。
アカデミックな書き方や話し方にはルールがあり、独学で学ぶのが難しく、ゼロからスタートするときには、かなりのトレーニングが必要です。英語スクールやマイチューターといったTOEFL専門コースを提供しているオンラインスクールなどで、先生に指導してもらった方が早く点数が伸びる分野だと思います。
リーディングとリスニングは、ある程度、独学でも点数が上げやすいと思います。特にリスニングは、英語を聞いて、選択肢の中から答えを選ぶといったテストなので、極端な話、当てずっぽうでも点数が取れる可能性があります。
もちろん、適当に答えを選んで正解する確率は低いですが、ライティングやスピーキングのように一定の技術が必要で、採点者にそれが簡単に見極められてしまうものよりは、リスニングの方が点数が取りやすいと思います。
正論をいえば、すべての分野をまんべんなく学ぶ必要がありますが、いつまでもTOEFLの点数が上がらないのでは、モチベーションも下がってしまうでしょう。取れるところで点数を取っていくというつもりで、リスニング強化に励んでみてはいかがでしょう。