アメリカ留学では、働きながら学校や大学に通うことができませんので、事前に留学資金を用意しなければなりません。
カナダは、法律が変わって正規学部の学生(語学コースは含まれない)であればアルバイトができるようになりましたが、それだけで学費をまかなうことは難しいです。
「今、留学資金はないけれど、現地でバイトするから留学したい」ということでは入学許可はでませんので、予め留学資金は準備しなければなりません。
現地に行く前に一定の資金(学費と生活費)がなければいけないので、その資金をどうするか?
留学資金としては、家族のサポート、自分の貯金、教育ローンがあげられます。
留学資金は高額です。家族のサポートや自分の貯金で留学できればそれは幸運なことですが、教育ローンが必要な場合もあると思います。
こちらのページでは、大学進学(国内)において2人に1人が利用しているといわれる教育ローンについて、「日本学生支援機構の奨学金」と「日本政策金融公庫による国の教育ローン」を取り上げてみます。
色々と調べないでローンを組んでしまうと、高い金利や無理な返済計画で後悔することにもなりかねません。じっくり調べて検討してください。
このホームページを読んでくださっている方の多くが高校生など学生さんなので、保護者の方と一緒に検討してください。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
日本学生支援機構の奨学金は、国が実施する貸与型の奨学金です。
基本的に、「無利息の第一種奨学金」 と「利息が付く第二種奨学金」の二種類があります。
できれば、無利息の奨学金の方がいいですが、基準として、特に学業に優れていて、経済的理由により著しく修学困難と判断される学生が第一種奨学金を借りることができます。
第二種奨学金は、利息がつくものです。一般には第二種奨学金を借りる方が多いでしょう。審査はありますが、広い範囲の学生が申込むことができるものです。
利息は銀行などに比べて低いものになっていますので、まずはこの奨学金を検討される学生が多いです。
通常は、現在通っている高校や大学を通じで申込みます(個別に機構へ申込むケースもあります)。
現在の学業状況により申込方法が多少異なりますので、詳しくは日本学生支援機構のページをご参照ください。
この奨学金は、基本的に大学や大学院で学位等の取得を目指す留学に限り利用することができます。
このため、政府推進プログラムや大学間交流等のでプログラムを除き、語学留学や単位の無い職業訓練系の留学では利用はできないようです(執筆時)。今後変更があるかもしれませんので、詳細は日本学生支援機構のHPで確認してください。
日本学生支援機構のページには、返済シュミレーションができるコーナーがあります。借りる本人がいくら必要で、それを借りると月々いくらの返済になっていくのかを確認することが出来ます。
ものすごく簡易な計算ですが、大学に通うために毎月10万円を4年間借りた場合、卒業後の20年間、毎月約27,000円の返済が必要になります(実際には借入時の金利や保証制度の利用の有無などで金額が異なってきます)。
奨学金という名の学生ローン
日本学生支援機構では、奨学金という名称が使われていますが、貸与型の奨学金は、「学生ローン」や「教育ローン」の類なので、その点は十分認識しておいた方がよいです。
「奨学金」という名称で通っているためそれに従って記述していますが、頭の中では「教育ローン」等に置き換えて読んでください。
本来、奨学金といえば返済義務のない教育支援金です。そのため、簡単にもらえるとか、返済が楽といったような幻想を持ってしまうかもしれませんが、決してそうではありません。
日本学生支援機構を利用したときには、卒業や中退後に借りていた奨学金の返済が始まりますが、支払いが遅れれば、借りたときのように優しくはありません。奨学金の返済が滞ると高い延滞利息や裁判を含む厳しい取立てがあります。
支払いが滞ると金融系のブラックリスト入りしてしまい、クレジットカードや携帯電話の契約さえ難しくなります。将来、車や家をローンで買いたいと思っても、審査に通らない可能性が出てきます。
日本学生支援機構は、国の機関でありながら消費者金融のようなことをしている、天下り先である、利息で大きな利益を上げているなどとニュースで話題になり、厳しい批判を受けたことから延滞利息率だけは下げられました。
その他にも色々と問題が指摘されていますが、残念ながら、他に条件の良い選択肢がないのが現実かと思います。
借りたものは返すというのは当然で、貸した側もそれを回収するのが仕事です。ただ、奨学金という名称に惑わされてしまう学生が多く、その後のトラブルに通じてしまうことがあると思います。
余談ですが、文部科学省によると外国人留学生受入れ予算(海外から日本に来る学生の学費、滞在費、渡航費等として支給される)は総額で約294億円ですが、日本人学生が海外留学するための予算は約36億円です(平成25年度)。
自国である日本人学生が冷遇されている状況に憤りを感じている人は多いでしょう。外国人留学生奨学金の廃止の意見も広がってきているようですが、もっと日本人学生に返済不要の奨学金を出してもらいたいものです。
※日本学生支援機構には、貸与型と給付型の奨学金があります。貸与型は上でご案内した通り返済義務があります。給付型は返済の義務はありませんが、割合が非常に少ないのでこちらでは取り上げていません。
国の教育ローン
国の教育ローンは、日本政策金融公庫が融資する教育ローンです。
国内の教育機関だけでなく、海外の高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院にも利用が可能です。
原則、6ヵ月以上の留学に利用可能で、1年間に必要となる費用を借りることができます。
350万円まで借りることが出来て、15年以内に返済するというローンです。
平成26年から、海外の短大、大学、大学院へ1年以上留学する場合は450万円まで借りられるようになりました。
日本学生支援機構と違って、通常、学生個人ではなく保護者が借りるローンです。
国の教育ローンは、日本学生支援機構と併用が可能です。
日本学生支援機構の奨学金は、原則として月々に決まった金額が振込まれるもので、入学時には特別増額貸与を申込めますが、それだけでは入学時に費用な資金(授業料、寮費、渡航費等)が足りないケースがあります。
そこで、国の教育ローンを利用することで、入学時前後に集中して必要になる高額な留学資金をまかなうことが可能になります。
ただし、二つの機関からお金を借りることになるので、返済プランは慎重に検討しなければならないでしょう。
銀行系の教育ローン
各金融機関で教育ローンが提供されています。ご家族が利用されている銀行、信用金庫、労働金庫などでお話を伺ってみてください。
各金融機関で融資額や融資基準などが異なりますので、詳細は金融機関窓口またはホームページでご確認ください。
ご参考までに一部リンクをご紹介します。
留学のために教育ローンを利用される方が増えてきているそうですが、銀行の担当者によっては、カナダやアメリカ留学システムをご存じないため、手間取ることがありますのでその件について少し追記します。
教育ローンを受けるには、融資の目的を確かめるため、大学などからの入学許可書の提示を求められることがあります。
カナダやアメリカの大学などから入学許可を得るためには、預金残高証明書といった留学資金があることを証明する書類を大学に提出しなければなりません。
つまり、銀行側では入学許可書がないと教育ローンは組めない、大学からは留学資金の証明がないと入学許可は出せない、ということで先に進めなくなってしまいます。
担当者によっては、大学などに進学するという証明書類がないと教育ローンは組めないので、多目的なローン(利子が高い)の方を勧めることもあるそうです。もしこのような事態になったら、他の銀行や支店に問い合わせてみてください。
事前に留学のために教育ローンを組まれたお客さんがその銀行にいるかどうか、また留学経験者が勤めている本支店を聞いて、そちらの窓口を訪れてみるのも一策です。
信販会社やカード会社のローン
信販会社やクレジットカード会社、消費者金融などでも目的別ローンなどで借りることができます。
銀行などに比べて、比較的お金の借りやすいこともありますが、金利が高いことが多いので余りおすすめできるものではありません。ただ、あくまでも個人の選択なので慎重に検討してください。
悪質な融資には注意!
昨今話題の耐えない悪質な融資をしている個人や会社には十分注意してください。中には、国や政府金融機関、大手銀行の出先機関のように装って融資の宣伝をしているところがあるそうです。
原則、簡単な書類と携帯電話のやり取りだけで、即融資が受けられるのはおかしいと思ってください。
また、留学している学生の自宅、留学している子供さんを持つご家庭に留学資金の融資をしますといったダイレクトメールなどが届くことがあるそうです。
ある個人が留学している、または留学している可能性がある、という情報をどこから得たかは推測の域を出ませんが、無料の留学相談や資料請求などで安易に個人情報(住所、親の職業や収入、家族構成など)を提供することは気をつけた方がよいのではないでしょうか。
また、頼んでもいない資料やダイレクトメールが送られてきても安易に返信しないよう注意してください。
20年先を予測するのは難しい
借りた教育ローンを使うの簡単ですが、返済は大変です。
返済は卒業後から10年先、20年先も続きます。返済プランによっては、18~19歳で借りたものが、40歳になっても返済が続いている可能性があります。
これだけの返済を10代、20代の学生が負うとしたら本当に大変なことです。
大学を卒業をしても必ずしも希望する会社に就職できるとは限りません。しかし、返済は、留学終了後または卒業後からすぐに始まります。
就職できても、希望通りの給料がもらえるとは限りませんし、今は終身雇用ではなくリストラが珍しくなくなりました。
ケガや病気で働けなくなる可能性もゼロではありません。
こういった不確定な要素のリスクを負って資金を借りるわけですから、本当に留学する必要があるのか、しっかり考えなければならないと思います。
もし借りるのであれば、それだけのリスクを負っているのだから、絶対に成功する!と人の何倍も努力するという気構えが必要でしょう。
留学エージェントの中には、この種の奨学金やローンを強く勧めてくることがあります。
奨学金という言葉に騙されてしまって(実際は返済義務があるローン)、多額の借金を背負ってしまうことがありますので十分な注意が必要です。
また、月々の返済は少ないから大丈夫といったことも言われることがあるようですが、金額によっては20年も支払いが続くのです。
社会人になれば、様々な支払いが必要になってきます。社会保障や年金、家賃、水道光熱費、生活費、車のローンや維持費、etc。それに加えて奨学金(学生ローン)の返済です。決して簡単ではありません。実際に、支払えなくなっている人たちもたくさんいます。
払えなくなったら自己破産で終わりにすればいいかといえば、そう簡単ではなく、保証人になっている親や親族が全額返さなければならなくなります。
日本では、とりあえず進学しておこうといって大学に行ったものの、有名大学を除いては希望通りの就職は難しく、収入も期待以下で、学生ローンの返済に苦労している方が多いそうです。
これほど大変であるなら、高校卒業後にすぐに就職してこつこつ稼いだ方がよかったと考える人もいるでしょう。
苦労してアメリカのコミカレを卒業しても、日本の専門学校で技術を身につけた人の方が就職率や給料が良いというのは珍しい話ではありません。
安易に借りることを考えるのではなく、色々な進路の選択肢を検討して、自分の人生設計をじっくり考えて決めてください。
参考リンク:
・日本学生支援機構:国が実施する貸与型(返済義務のある)の奨学金です。
・国の教育ローン:日本政策金融公庫が融資する教育ローンです。
・JAバンク・教育ローン:500万円以内で借りられる教育ローンです。元金の返済を据え置き、卒業後にコツコツ返済することが可能。融資期間:最長13年6か月。
・ろうきん・教育ローン:6ヶ月以上の留学から借りられる教育ローンです。融資金額は1,000万円まで。融資期間:最長15年。
・トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム:民間企業からの寄付によって支えられている奨学金制度。学生個人が留学計画作り、在籍している大学・高校等を通して応募します。月額12万円~20万円や渡航費などが支給されます。留学期間は2年まで。※年度によって募集人数や応募要項が異なります。
・海外留学奨学金検索サイト:日本学生支援機構サイト内にある海外留学奨学金制度の検索ページです。留学先や学部などを選んで奨学金を探すことが出来ます。一般のネット検索ではなかなか見つからない地方の奨学金や小規模な奨学金などもでてきます。
・学校毎の貸与及び返還に関する情報:日本学生支援機構による国内大学の奨学金延滞率を調べられるページです。個別の大学で奨学金を借りている人がどれくらいで、返済が遅れているのが何人いるのかといった情報を見ることができます(過去5年のデータ)。延滞率から大学の良し悪しは判断できるものではありませんが、地域・学費・就職・知名度などを含めて大学選びの検討材料になるかもしれません。
・E-LOAN:ローンの比較ができるサイト。教育ローンの分野では、海外留学ローン一覧から金利・借入可能額・借入期間・審査機関などを比較できます。
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