アメリカ&カナダ留学といえば、まずは、語学留学からスタートするということが多いでしょう。しかし、この語学留学の時点でつまずいて、英語を少し学んだだけで留学が終わってしまったり、学ぶことを諦めて遊ぶことにどっぷり浸かってしまう学生が結構います。
コミュニティーカレッジ(短大、専門学校系)や大学進学を目指していても、語学学校でつまづいて、最終目的になかなかたどり着けない学生が多いです。
個人の学力や目的意識の強さにもよりますが、自分にあった語学コースを選ぶことが、まずは留学を良い軌道に乗せる第一歩だと思います。
語学学校または語学コースは大きく分けて、民間の語学学校、コミュニティカレッジ付属の語学コース、大学付属の語学コースの3種類があります。
それぞれについて順に説明しますので、どれが自分に適しているか考えてみてください。
英会話を学ぶなら民間の語学学校
英会話初心者がまず通うのが民間の語学学校です。英会話を学びたい学生のためのコースから、一部は大学準備コースまで、柔軟性のあるシステムを取っています。
私立または民間の語学学校はどこも同じタイプとはいえませんが、日本の英会話スクールをイメージすると分かりやすいと思います。
入学時期は、毎月募集しているところもたくさんあるので、いつでも行きたいときに申込める学校がたくさんあります。
日本の留学エージェントが代理で入学手配をしているので、日本人が集まりやすいのが民間の語学学校です。
留学エージェントが熱心に紹介している理由は、語学学校が広告料や報酬を留学エージェントに支払っており、それがビジネスとして長年成り立っているからです。
日本人学生は自分で留学手配するのが大変なので、留学エージェントに手続き関連を丸投げして、結果、こういった語学学校が流行っている一面があります。
自由な雰囲気の中で楽しく会話を学ぶことができる学校もたくさんありますが、その逆、質の低い学校もあります。
民間の語学学校では、クラス内で英語を話すチャンスを多くし、短期間で会話に慣れることを目標としています。
ただ、カレッジや大学のように一般のアメリカ人、カナダ人学生はいませんので、周りが留学生ばかりの環境で、他国独特の奇妙なアクセントがついて困るという学生の悩みもあります。
設備や施設では大学やカレッジに劣るものの、民間の語学学校は留学生確保に熾烈で、英会話をもっと話したいといった留学生の希望を取り入れているところが多いと思います。
一部の学校では、短期留学の「楽しい思い出づくり」がメインで、英語を話せるようになるといった実用性はなく、イベントを多く盛り込んで楽しさを追求しているところもあります。
そういった楽しい企画を出せるのも民間学校の特徴ですが、旅行の延長で留学したいのか、それともアカデミックな授業を希望しているのか、そのあたりをしっかり見極めてから行かないとガッカリな結果になってしまうでしょう。
民間の語学学校によっては、先生の出入りが激しいところもあり、過去の体験談などを基に、今も良い学校と判断するのは難しい場合があります。
語学学校の多くは、信用と授業の向上を目指し、団体を組み行動しているところもあるので、選択の際には考慮してみると良いと思います。
ちなみに、○○○インターナショナル・スクールや△△△インターナショナル・カレッジといった名前を見かけますが、短大や大学というわけではありません。
日本の英会話学校でも似たような名前がありますが、名前に騙されてしまわないようにしてください。
名前から大きなカレッジのキャンパスで勉強するものだと思っていたら、間借りしたビルの一室で授業をやっていてショックだったというのは学生から良く聞く話です。
そういう意味では、名前だけで学校を決めるようなことは、最低限、避けなければなりません。
コミュニティー・カレッジ付属の語学コース
コミュニティー・カレッジ(以下、コミカレ)付属の語学コースでは、民間の語学学校と同様自由な雰囲気のコースから、大学付属語学コース並の厳しいカルキュラムを取っているところがあります。
語学コースは、ESL(English as a Second Language)と呼ばれることが多いです。学校によっては、ELIなど別の呼び方もあります。
コミカレの一般コースと同じ学期制をとっているところが多く、1学期は約二ヶ月半~四カ月程度です。このため、民間の語学学校のように毎月入学できるという便利さはありません。
コミカレでは、上級の語学コースを終了した後に正規学部への入学が許可されることが多く、これを狙って留学生はコミカレの語学コースを選んでいます。
民間の語学学校では、単独で運営していることが多く、語学コースを終了したからといって、地元のコミカレに進級できることは少ないでしょう。
一部の語学学校は、地元のコミカレと提携しているケースがありますが、実質、日本でいうところの英会話スクールと同等いうところも多く、無試験でカレッジに進学できることは余りないと思います。
授業内容ですが、ESLでは初級レベルは会話中心、中級レベルは文法、リーディング、ヒアリング、そして、小エッセイ中心、そして上級レベルでは、リーディング、スピーチ、エッセイとリサーチペーパー中心というのが一般です。
その他、ボキャブラリーやスピーディにノートを取る方法、トーフルなどのクラスもあります。
上級クラスでは、正規コース(数学や物理など)の受講も許され、日常会話をこえた英語力を付けることができると思います。
コミカレでは、正規学生になっても授業についていけるように留学生を指導することが目的ですので、レベルが上がるに連れて、アカデミックな内容になっていきます。
民間の語学学校と違って、一般のカナダ人やアメリカ人が通うキャンパスでの生活がほとんですので、ネイティブの英語に接する機会が多くなることも利点といえます。
コミカレによっては、進学用の語学コースではなく、移民者を対象にした会話スクールの要素が強いコースもあります。日本人が少ないという情報を聞いて勇んで行くと失敗する一例です。
一部のコミカレでは、コミカレ本校とは別に、語学コース用の施設を別の場所に設けていることがあります。こういったケースでは、現地の学生と一緒にキャンパス生活を送ることは難しくなり、ネイティブの英語に接する機会を期待していたのに周りは留学生ばかり。。。という状況になってしまうかもしれません。
大学付属の語学コース
大学付属の語学コースでは、システム的にはコミュニティー・カレッジと同様ですが、よりアカデミックな環境での指導が多くなります。
大学のレベルにもよりますが、英会話を中心とした初心者クラスが無いというように、語学コースであっても、ある程度の英語力が求められることが多いです。
一般に英語や言語学の修士を持つ先生、英語教授法の資格を持っている先生がいることが常で、システムの整った能率的な授業を行っています。
大学付属ということで、留学生を大学正規の授業についていけるように準備する義務があり、大学のレベルによってコースの厳しさは上下すると思います。
簡単に言えば、入学基準が高い大学の語学コースはそれなりに厳しく、入学基準が低いところはそれなり優しいという感じです。
名前につられて有名大学の語学コースを選んでしまった際には、厳しい授業の中、いつまでたっても終了できないことや挫折してしまう人もいるので注意が必要でしょう。
授業は自由な雰囲気の語学学校とは違い、アカデミックで非常に厳しい大学も多いです。
英会話を中心に楽しく学びたいという人には適さない場合が多いので、申込の前に確認が必要です。ただ、サマーコースは比較的優しく自由なカルキュラムのところもたくさんあります。
大学では、夜遅くまで開いている図書館やランゲージラボなどの設備の良さは優れています。勉強しようという学生に多くのオプションを提供してくれると思います。
また、積極性があれば、正規学生とスポーツやイベントなどを通して交流を図れる機会も多く、英語力のアップにつながるでしょう。
宿題が多く、まともに睡眠をとれない日が続くことがよくあるのも大学付属の語学コースの特徴です。
成績に関しても細かく、0.1%足りずに次のコースに進めない学生もいます。
これらのコースを終えておくと、大学の正規のクラスを取るときに非常に心強くなります。
確かに厳しいクラスですが、大学の授業はもっと厳しくなるので、こういったコースで徐々に慣れていく必要があります。
入学の厳しい大学では、大学付属語学コースは大学の通常コースとは別格で、語学コースを終了しても正規コースに自動的に進むことが出来ないことがあります。
正規入学には、大学指定の英語テストを受けたり、規定のトーフルの点数を取らなくてはならないことが多いです。
語学コースの厳しいコースを通過してきた人達にとっては、基本がしっかり出来ているので勉強するればこれらの障害もクリアーしていけるでしょう。
たくさん大学がありますので一律には言えなませんが、カナダに比べてアメリカの大学は柔軟性に富んでいるところが多いと思います。
例えば、語学クラスを終えて大学の英語テストにパスできない場合、準正規学生にして認めてくれることがあります。
あとは、英語の補習クラスを集中的に取り、規定の成績で終了させることを義務付けるといった感じです。
また、学生が選択できる科目に制限を与えたりして、1年以内に規定のテストにパスすれば正規学生になれる方法もあります。
大学入学を目指すのであれば、大学付属の語学コースに通うことが、入学への最短コースだと思います。
アメリカには、大学キャンパス付近に語学学校がいくつかあります。名前がいかにも大学付属の感じがするのですが、実際には関係ないことが結構あります。
大学の施設を使わせてもらえたり、夏休みなどは大学の学生寮に入ることもできることがあります。しかし、実際には大学付属の語学コースではありません。
名前が有名大学ぽいからと言って安易に学校を選ばないで、大学との関係もしっかり調べましょう。
語学コースでお金を節約したいのなら、今、学ぼう!
一般に、民間の語学学校の受講料は、コミカレや大学に比べて安いため、そちらを選ぶケースが多いかもしれません。
語学コースでお金を節約したいのであれば、日本でしっかり学んでおいて、語学コースにいる期間を少なくする、または、TOEFLなどのスコアを上げる努力をしてすぐに正規学部へ行ける準備をしておいた方が得策です。
現地に行っていかに節約するかを考えるより、今、学力アップを図った方がよいということなのです。
多くの大学やコミカレでは、語学コースだから授業料が安いということはなく、正規学部と同じくらいの費用を必要とします。そのため、英語を学ぶためだけに、1学期ごとに30万円以上かかり、年間では学費だけで100万円以上が必要になってきます。
限られた留学資金であるなら、語学コースに高額な費用を出すより、せっかくなら正規学部で高度な専門知識を得るためにお金を使いたいものではないでしょうか。
日本の学校教育の中では、小学校または中学校~高校というように何年も英語を学びますが、簡単な日常英会話すら厳しいという学生が多いです。
何年も英語を学んでいるので、それなりにできるだろうと勘違いしている人も結構多いのではないでしょうか。
実際にアメリカに行ってみると、全然、自分の英語が通じない!大学に行くつもりが語学コースの授業についていくのさえ大変ということになって、ショックを受けるなんてこともあります。
まずは、英会話に慣れること、そして、日本式の学び方より、TOEFL学習などを通してアメリカに適した学び方で準備することをオススメします。
しっかり学べる語学コースを選ぶことが重要
英語なんてどこで学んでも一緒、とりあえずどこでもいいから行こう!みたいなノリも否定しませんが、資格を得る、大学を卒業する等の目的を考えて、しっかり語学学校や語学コース選びをした方が最終目的に早くたどり着けると思います。
大学に行きたいから、語学コースではお金を節約したいといって中途半端な語学学校へ行く学生がいますが、ここで十分な指導を受けられずに、大学進学は夢になってしまうことがあります。
お金の心配も大切ですが、中途半端な語学学校に行ってしまうと安物買いの銭失いになりかねません。
学校によっては、安い賃金で雇った素人に近い講師が教えている一方、専門的な知識と英語教授法など資格を持っている先生が教えているところがあります。どちらがよいか明らかでしょう。
語学を含めて、何でも基礎が大切です。その基礎を分かりやすく教えてくれる先生も重要です。その点を考えて、費用だけで学校を選ばないようにしてほしいと思います。語学の基礎を疎かにすると、さらに高度な語学力が必要になる大学の授業についていくのが大変です。
この際だから、アメリカやカナダで本場の英語の基礎をみっちり学ばせてもらおう!という気持ちで語学留学を考えてみてください。